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「ゼロ円買収」が招いた東芝の絶体絶命 買収の発表からわずか1年余りで巨額減損へ

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2016年12月27日に東芝本社で開かれた緊急会見。会社側は「精査中」を連発した(撮影:梅谷秀司)

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[ポイント1]
東芝は16年末、最近まで約500億円の部門営業益を見込んでいた原子力事業で、数千億円規模の損失計上の可能性を発表。同社の再建計画は崩壊した

[ポイント2]
元凶はわずか1年前に実質0円で買収した原発建設会社S&Wだ。電力会社などと訴訟合戦をしていた最中の買収で、表向きのメリットは対立の解消だった

[ポイント3]
だが、追加コスト発生リスクをすべて引き受けることで話をつけ、S&W買収で電力会社との訴訟合戦に終止符を打ったならば、そのツケは計り知れない

 

再建計画は完全に崩壊した。昨年末、東芝は原子力事業で数千億円規模の損失を計上する可能性があると発表。緊急会見には、綱川智社長、平田政善CFO(最高財務責任者)、畠澤守原子力部長が出席した。事の詳細を聞かれると、いずれも「精査中です」を繰り返し、肝心なことは何もわからなかった。

震源地は、2008年にウエスチングハウス(WH)が米国のサザン電力とスキャナ電力から受注した原子力発電所の建設プロジェクトだ。この建設工事にかかる全体のコストを精査したところ、予定の金額をはるかに上回ることがわかったため、数千億円規模の損失処理を迫られることになった。

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