中国の過剰生産が迫る、日の丸化学の"脱汎用" 合繊原料で中国勢が急速に台頭
合繊原料で中国勢が急速に台頭。過当競争となり、日本企業の撤退・縮小が相次ぐ。
「必死にコスト削減を進めたが、赤字解消のメドが立たなかった」──。三菱化学の福田信夫・執行役員化学品本部長はそう言って肩を落とす。
同社は2016年10月、高純度テレフタル酸(PTA)を生産するインド子会社を売却。中国の同生産子会社についても、12月中旬に現地の化学会社へ譲渡した。
PTAは代表的な合成繊維原料で、ポリエステル繊維やPETボトルの主原料になる。三菱化学はこれまでインドネシア、韓国を含む海外4カ国で生産を行い、長らくアジア最大のメーカーだった。市況がよかった10年度にはPTAだけで300億円前後の利益を稼いだほどだ。
ところが、11年後半から市況は急落。採算を示すスプレッド(原料との値差)は従来の3分の1以下、長い歴史の中でも最低となる1トン当たり70ドル前後に落ち込んだ。インドと中国の子会社は多額の赤字に転落。昨年度は生産設備の減損処理を余儀なくされ、2社合計の最終赤字が700億円規模に膨らんだ。
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