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浮かぶ商社決算の不透明 伊藤忠 vs.空(カラ)売りファンド

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米国の空売りファンドが仕掛けた。標的にされたトップ商社は猛反論するが。

グラウカスの「強い売り」推奨に対し、伊藤忠は3度のリリースで冷静な判断を呼びかける(撮影:上・梅谷秀司、右下・今井康一)

企業の不正会計を調査し、「空(カラ)売り」を仕掛けたうえでリポートを公開する米空売りファンド、グラウカス・リサーチ・グループが日本に初上陸。伊藤忠商事を標的にし、揺さぶっている。

同グループは7月27日、東芝の不適切会計と比較する強い論調で、「伊藤忠が過年度決算で利益の水増しを行っている」とする調査リポートを公表。目標株価を、前日終値の半値である631円に据え、「強い売り」を推奨した。当日の株価は一時約10%下落し、1135円と年初来安値を更新した(図表1)。

[図表1]
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リポートで訴える不正会計のポイントは大きく3点だ。一つ目は2015年3月期、コロンビア石炭事業で1531億円相当(同社試算)の減損認識をせず、持ち分法適用から除外して損失を切り離した、という指摘である。

二つ目は、16年3月期に伊藤忠がタイ財閥のCPグループと共同で1.2兆円を投じたCITICは中国の国営企業であり、伊藤忠には経営に対する重要な影響力がなく連結決算に取り込むべきではないという見解。そして三つ目は、15年3月期末に600億円の再評価益を計上した、台湾の頂新ホールディングス(HD)で会計処理のタイミングに対する疑問だ。

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