孫正義社長の後継社長となるはずだった、ニケシュ・アローラ副社長の退任が株主総会前日に発表された。孫社長は「あと5年、10年と続けたくなった。それまで待たせるのは申し訳ない」と述べたが、理由はそれだけではなさそうだ。
ニケシュ波乱の半年間 円満退社に複数の疑惑
株主総会前夜の6月21日午後7時59分。ソフトバンクグループ(以下ソフトバンク)は、孫正義社長が「後継者」と公言していたニケシュ・アローラ副社長(当時)が、任期満了で退任するという衝撃的なプレスリリースを発表した。
何が起きているのか。時計の針を戻してみよう。退任の62分前に発表されたのは、スーパーセル株の全売却だ。退任発表前日には、匿名株主の告発を受けて設置された特別調査委員会が、ニケシュ氏の疑惑に「シロ」判定を下している。6月初旬からは、アリババグループ・ホールディング株やガンホー・オンライン・エンターテイメント株など怒濤の売却が始まっていた。ニケシュ氏がソフトバンクに入社してから1年10カ月。中でもこの半年間で動きが加速していることがわかる(図表1)。
きっかけは一つの書簡だった。今年1月下旬。東京・汐留にあるソフトバンク本社に送りつけられた11枚のA4用紙には、小さな英字がびっしり書いてあった。題名は「内部調査を要求する」。「この種の文書を送らなければ代表訴訟は始まらない」(株主訴訟に詳しい弁護士)ため、株主代表訴訟の準備書面であることが一目でわかる。実際、結びにはこう書いてある。「書簡の日付(1月20日)から60日以内に調査を開始しなければ、日米で法的措置に訴えるとともに、規制当局への情報提供などあらゆる手段を講じる」。
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