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政治的意図が見え隠れ 熊本地震の対応に疑問 憲法に条項追加論、オスプレイにも支援要請

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九州を襲った甚大な地震から1週間が経った。政府は迅速な災害対応をアピールするが…(EPA=時事)

4月14日から続いている九州中部の地震で亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々にお見舞い申し上げたい。

この地震は、多くの問題を私たちに突き付けている。気象庁は、震源が移動する今回のような群発地震は前例がないと説明する。しかし、人間が地震の観測を始めたのは地球の歴史の中ではごく最近のことで、こうした地震はたびたび起こってきたのだろう。要するに、人間には大地の動きのことは何もわからない。いつどこで、どのような地震が起きても不思議ではないのだ。

3.11から5年が経ち、安倍晋三政権は震災の記憶を消し去ろうとしてきた。福島第一原子力発電所の事故の後、放射線量が下がったとして、避難している被害者の帰還を進めている。被曝による健康被害についての十分な情報公開は行われていない。そして「世界一」の安全基準なるものに沿って審査をして、原発の再稼働を進めている。

川内(せんだい)の避難計画は要再考

熊本地震への政府の対応には、いろいろと疑問がある。第一は、避難している人々の必要とする物資が的確に供給されないことである。道路が寸断され輸送が困難であることはわかる。それでも道路が使えないことを「想定」したうえでヘリコプターなどによる物資輸送計画を立てるのが政府の責務ではないか。また、14日の最初の地震の後の避難方法をめぐって、国の方針と蒲島郁夫熊本県知事の見解とに齟齬(そご)があったことも伝えられた。現場の要望に応えて迅速、柔軟に対策を立てることは災害対応の基本だが、この点は3.11からどのような教訓を学び、改善がなされたのだろうか。また、本稿執筆の時点で、官邸は激甚災害の指定について逡巡している。なぜか、説明を聞きたい。

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