仕事をするうえでは、大なり小なり秘密を伴う。しかし、秘密が漏れてしまうことは必ずある。外交官が秘密を漏らせば、外務公務員法違反で刑事責任を追及されることになっている。しかし、厳密にこの規定を適用したら外務省幹部で刑事責任を問われない人は皆無となるだろう。極秘情報をリーク(漏洩)して自らに有利な状況を作ることができないようでは、一級の外交官とは言えない。リークが露見しないように細心の注意を払いつつ秘密を暴露する能力も、ライバルと差をつけるうえではとても重要なのだ。
真理は具体的なので、最近起きた出来事に即して解説する。少し前の出来事だが、2月23日に奇妙な情報が組織的に流された。時事通信の記事を読むと、この情報をリークした者の意図が透けて見えてくる。
〈今月(2月)9日に行われた日米首脳電話会談時に、オバマ大統領が安倍晋三首相のロシア訪問に懸念を伝えていたことが23日、分かった。複数の日米外交筋が明らかにした。首相は5月上旬にロシアを非公式訪問し、プーチン大統領と会談する意向だが、米国が日ロの接近を警戒していることが改めて浮き彫りとなった形だ。/電話会談は、北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射を受けて行われた。関係者によると、オバマ大統領は首相の訪ロについて、5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)での結束を重視し、「ロシアに行くなら、サミット後にしてほしい」と迫った。これに対し、首相は「日ロ間には重要な問題がある」と説明した。/首相は4月下旬からの大型連休に、サミットに参加する欧州各国への歴訪を予定。欧州から日本への帰途に、ロシア南西部の都市ソチに立ち寄ることを検討している。政府関係者は「首相の訪ロ方針は変わらない。米国には引き続き、理解を求めていく」と強調。首相は、ロシアへの非公式訪問を通じて、停滞している北方領土問題の進展を図りたい考えだ。/首相はプーチン大統領との会談で、ウクライナ問題の平和的解決に向け、ロシアに自制を働き掛ける方針。核実験などを強行した北朝鮮情勢をめぐっても協力を求める。〉(2月23日、時事通信)
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