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NOTTV撤退 ドコモ放送事業で大損

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準備に6年かけたNTTドコモの新規事業が今年6月で終了する。累積赤字は900億円弱。高すぎる授業料を払った失敗を研究する。

携帯会社最大手、NTTドコモはスマートフォン(スマホ)向けテレビ放送「NOTTV(ノッティーヴィー)」から今年6月に撤退する。ドコモ元常務でNOTTV運営子会社mmbi社長の眞藤務氏は、「契約者に本当に申し訳ない」と反省しきりだ。

mmbiは2015年3月期までのわずか3期で900億円近い累積赤字を計上した(図1)。放送設備を設置する子会社ジャパン・モバイルキャスティング向けの貸付金300億円弱の貸し倒れ引き当て処理、mmbi株や放送設備の減損処理200億円弱は前期末に完了済みだ。ただ、撤退に伴い、全国に85ある基地局からの放送設備の撤去作業などで最終的な累積赤字はさらに増える可能性がある。

[図1]
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実は、この規模の累積赤字は、放送事業では驚くに当たらない。日本放送協会(NHK)出身で放送産業に詳しい池田信夫・アゴラ研究所代表は「装置産業である放送ビジネスでは、赤字が累計1000億円まで突っ込んでから、事業が軌道に乗りだす例が少なくない」と語る。だがドコモは今回、1000億円に到達する手前で事業撤退を決めた。

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