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三井物産 ゴボウ抜き社長 200日の攻防

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ライバルたちに後れを取る三井物産。復活へ選んだ手段は周囲の度肝を抜いた。32人抜きで誕生した54歳の新社長。その悪戦苦闘の日々を追う。

(本誌:秦 卓弥)

9月初旬、アフリカ南東部に位置するモザンビーク。南半球に位置するこの国は晩冬から初夏に移り変わる時期だ。内陸部では真夏の気温が50度を超える過酷な土地だが、ある日本の商社マンが首都マプトを訪れたときは、まだ真っ青な空が冬の余韻を残していた。

その商社マンとは、三井物産社長の安永竜夫である。安永はこの新興資源国で三井物産の命運を握る、ビッグビジネスに臨もうとしていた。それだけに目の前に立ちはだかる壁も厚い。ハードな交渉になることは必至だった。

「1980年代のカタールを彷彿させる」。安永に言わせると、それがモザンビークという国である。世界一のLNG(液化天然ガス)輸出国となったカタールのように、モザンビークは天然ガスや石炭などの資源開発を足掛かりに一挙に発展を遂げようとしている。

このアフリカ資源新興国の成長を丸ごと取り込もうと狙っているのが、三井物産である。社長就任から半年、安永は多忙なスケジュールの合間を縫って、モザンビーク入りした。ニュシ大統領や担当大臣らにトップセールスを行うためだった。

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