読者が部下であるとして、上司がやるべき仕事を十分に行っていない、あるいはまったく行っていないと思った場合、どのような態度を取ればいいのか。仕事の事柄、上司の性格、社風などが複雑に絡んだ問題なので、単純化はできない。
一般論として、上司は部下にミスを指摘されることを好まない。そのことを念頭に置いて、自分に降りかかる不利益をできるだけ少なくして、組織の利益の増大に貢献するという方針で対処するしかない。
日和見主義的な態度ではあるが、組織で部下が上司に対して「スジを通す」ということは、基本的にありえないと考えておいたほうがいい。組織の論理からするならば、部下が上司に対して「スジを通す」ような事態が頻発するということは、上司が部下を掌握できていないということと、ほぼ同じであるからだ。
まず、上司が不十分な仕事しかしない場合には、二つの類型がある。第一は、上司が問題の所在に気づいていない場合だ。たとえば、ロシアの首相が「近く南クリル(北方領土に対するロシア側の呼称)を訪問する」と主張したとする。これに対して、ロシア情勢にあまり通暁していない政治家や外務省幹部ならば、「けしからん。抗議して、やめさせろ」ということになる。
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