グローバル度合いは、タケダ以上?──外資系企業に資本の過半を委ねながら、「独立」を貫く。異色の経営はなぜ実現できたのか。
不思議な生態である。資本の約6割をスイスの巨大企業に握られながら、13年間にわたり伸び伸びと「独立経営」を維持してきた。がん治療薬で国内ナンバーワンの中外製薬である。
およそ10倍の売り上げ規模を持つスイスの製薬大手ロシュによる資本参加を、中外は「買収」ではなく「戦略的アライアンス」と呼ぶ。事実、研究にも営業にもノータッチなら、経営幹部には社外取締役以外、ロシュの人材は一人も送り込まれていない。一方で、ロシュとの提携で製品・開発品は華々しく充実し、自社創薬の海外市場へのアクセスも手に入れた。国内順位は10位近くから4位に浮上。「海外企業に買収されたら、完全統治下に置かれて当然」という常識に反例を提示した奇跡の提携は、いかにして成立したのか。
大衆薬でスタートし バイオで名を馳せる
1925年に創業した中外は、もともと大衆(一般用)医薬品を主力とする会社だった。代名詞は解毒促進・肝機能改善剤「グロンサン」と蒸散殺虫剤「バルサン」。この2大ヒット製品が勃興期を支えた。
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