日本の種苗メーカーは、遺伝子組み換え作物の開発には積極的でない。カネコ種苗の細井宏専務は「まだ世間に遺伝子組み換えが受け入れられておらず、参入しても逆にネガティブにとらえられてしまう」と、消費者の抵抗感が強いことを指摘する。
国内最大手サカタのタネ。加々美勉常務は「コストが見合わない。(遺伝子組み換え作物を商業化するには)さまざまな実験や調査をしなければならない。それを品種ごと、展開している国ごとに行っていたら、ものすごい費用がかかる」と打ち明ける。農林水産省などによると現在、日本国内で商業用に栽培・販売されているのは、サントリーグループの青いバラだけだという。
だが、遺伝子組み換え技術を使わずとも、日本勢も着実に業績を伸ばしている。世界約170カ国で販売を行っているサカタのタネは、2014年度に海外での売上高が初めて全体の50%を超えた(図表1)。
西洋化で新しい野菜を食べる中国とインド
サカタのタネもカネコ種苗も、特に売り上げが伸びているのは中国やインドといったアジアだ。「これらの地域は人口が伸びており、もともと野菜を食べる習慣もある」(カネコ種苗の榛澤(はんざわ)英昭取締役)。食の西洋化などで新たな野菜を食べる機会が増えていることも、追い風になっている。国内市場は農家も人口も減っており、各社が海外に活路を見いだしている。
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