音楽は誰のものか アップルミュージックの深層
1日にして、4兆円が蒸発した。7月22日の米国株式市場。アップル株が急落し、時価総額のうち320億ドル(下落幅4.2%)が吹き飛んだのだ。
前日に発表した2015年度の第3四半期業績で、iPhoneの販売台数がアナリスト予想を下回ったことが投資家を失望させた。純益4割増の好決算だったにもかかわらずだ。売上高の6割を占めるiPhone(図表1)は、いつまで成長神話を紡いでくれるのか。投資家や業界関係者が抱くこの懐疑に、「予想割れ」が火をつけた。
神話を終わらせないカギの一つは、音楽にある。「ワン・モア・シング」──故スティーブ・ジョブズ氏が特別な製品を紹介する際に愛用した枕詞を、ティム・クックCEOも6月9日の会議で口にした。そしてベールを脱いだのが、新しい音楽サービス「アップルミュージック」だ。毎月9.99ドルを払えば、約3000万曲がiPhoneなどで聴き放題になる。米著名ラッパー、ドクター・ドレ氏の育てた音楽事業ビーツ・エレクトロニクスを30億ドルで買収した成果だ。サービスは6月30日、米国や日本などで一斉に始まった。
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