中国の新銀行構想は、全体像が見えない状態で51の国と地域の参加を集めた。先行きに不安はあるが、試行錯誤しながら形にしていくのが中国流だ。
中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)には、韓国やインド、オーストラリア、欧州主要国など合計50カ国が参加申請した。台湾当局も参加申請したと発表した。今後、年内の発足を目指した取り組みが始まることになる。
日本ではAIIBについて、その運営思想や能力に疑問が呈されることが多い。中国の研究者からも、中国には国際金融機関運営のノウハウがないことが指摘されている。もう一つの問題は資金調達だ。中国は、シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロードから成る「一帯一路」イニシアティブを推進するために400億ドル(約4.8兆円)で「シルクロード基金」を設立した。これを管理しているのは中国人民銀行である。AIIB設立を進める財政省と人民銀行の関係は悪く、連携がうまくいくのかが不安視されている。
しかし、これらの問題があるからといって、AIIBが機能しないと考えるのは早計だろう。能力が十分でないのに組織の設立を始めるというやり方は、実は中国らしいともいえる。試行錯誤を繰り返し、何とか形にしてしまおうというのだ。
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