小・中の不登校過去最多「無理やり登校」避けるワケ 全国に特例校17校、オンライン活用した支援も
これだけ見るとあたかも不登校の要因は第一義的に本人に問題があるように思えてしまうかもしれないが、無気力や不安になったもともとの要因が学校や家庭にあった可能性もあるはずだから、本人に問題があると決めつけるのは早計だろう。
なお「学校に係る状況」のカテゴリーに入った要因でいちばん多かったのは、小・中学校いずれも「いじめを除く友人関係をめぐる問題」であった。
大人と同様、子どもたちも社会での人間関係にストレスを感じているようだ。ちなみに「いじめ」が要因で不登校となった児童生徒数の割合は小学校が0.3%、中学校が0.2%。いじめにより「相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある」と認められたケースは、小学校で143件、中学校で155件、高等学校で47件、さらに特別支援学校で2件となっている。
コロナ感染回避目的の欠席も
不登校となった児童生徒数の65.7%の約12万9000人は、学校内外の機関などで相談・指導などを受けている。
この人数は前年度と同じ水準だが、不登校児童生徒に占める割合は前年度の70.4%からやや減少している。3割以上の児童生徒が、学校内外の機関で相談・指導を受けていないということだ。約12万9000人のうち、約7万3500人は学校外の機関で相談・指導を受けている。学校外の機関とは、教育支援センターや民間団体、民間施設などのことである。
なお、この調査では、新型コロナウイルスへの感染回避のために長期欠席した児童生徒数も調べており、小学校で1万4238人、中学校で6667人の合計2万905人であった。ちなみに自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとされた児童生徒は、小学校で820人、中学校で1806人である。
一方、20年度の高等学校の長期欠席者数は8万527人で、そのうち4万3051人が不登校となっている。また新型コロナウイルスへの感染回避による長期欠席者数は9382人だ。
高等学校の不登校者数の長期的な推移を見ると、年度によって増減はあるが、漸減傾向といえる。04年度には6万7500人だったが、16年後の20年度は4万3051人で、2万人以上も減っている。ただ、不登校生徒数の19.6%は90日以上欠席しており、出席日数0日の生徒も1.3%いるので、小・中学校と同様、やはり憂慮すべき状況といえそうだ。
ただ、こうした不登校の児童生徒が増え続ける背景には、学校・教員や保護者の対応の変化がある。不登校の子どもを追い詰めると、最悪の場合自殺につながりかねない危険があるため、無理やり登校させるようなことはしないほうがいいという考え方が広がっているのである。文科省が19年に通知した「不登校児童生徒への支援の在り方について」でも、登校という結果だけを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に考えることが必要だとしている。
文科省は取り組みを強化
この調査を踏まえて文科省も、課題の早期発見や支援のための教育相談支援体制を充実させるためにスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を充実させるなど取り組みを強化している。
不登校児童生徒については、自治体や民間団体などが行う学校以外の場における支援体制の整備を推進したり、教育支援センターを中核とした民間団体などとの連携促進、アウトリーチ型支援の充実、校内支援体制の充実促進、不登校特例校の設置促進などを進めたりしている。不登校の児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を行うことのできる特例校はすでに全国に17校が設置されている(21年4月1日現在)。