熊本市「不登校生のオンライン学習支援」の中身 来年度実施に向け9月から学習体験スタート
基本的には担当教員と児童生徒は、Zoomやロイロノートを使ってやり取りする。児童生徒は、AI学習アプリやウェブサイト、動画などを使って自分のペースで学習を進め、わからないところは担当教員に聞くことができる。また、オンライン授業も実施する。こうしたオンライン学習に参加した場合は、指導要録上の出席扱いになるという。
実際に体験してもらおうと希望者を募ったところ、想定していた40名を超え、小学生26名、中学生42名の計68名の参加申し込みがあった。
同小学校では、9月1日から学習体験をスタート。Zoomによる朝の会は全員参加して、健康観察と自主学習の予定確認を行う。オンライン学習支援は、「今日は6年生、明日は5年生」といった形で学年ごとに日替わりで実施している。同中学校では9月2日から、隔週でオンライン学習支援を行っている。
「9月24日現在、中学生は延べ10名程度の参加があります。9月上旬はまん延防止等重点措置を受けて本市はオンライン学習を実施していたので、そちらに参加していた生徒もいたかもしれません。一方、小学生は平均して6~7割が出席しており、多くの子が楽しんで参加している印象です。『子どもが喜んでいる』という保護者の声も届いています」
子どもたちが担当教員との学びに慣れてきたら、さらにつながりを広げられる機会も設けたいという。
「学習支援校の同じ学年の授業にオンラインで参加したり、オンライン上で意見交換ができるようになったりできるといいですね。そうなると、本荘小学校と芳野中学校の児童生徒にもいい影響があると思っています。とくにビジネス街にある本荘小学校は、複式学級で人間関係が固定化しているので、校区以外の子と交流があるのはよいこと。小規模校である両校を選んだ理由の1つは、ここにあります」と、川上氏は説明する。
専門家などゲストティーチャーを招いたオンライン授業も予定している。すでに学習体験において、美術館の学芸員や博物館の副館長にオンラインツアーの形で施設案内をしてもらったが、好評だったという。
また、スクールカウンセラーや「ユア・フレンド」のボランティアの大学生ともオンラインでつながれるようにする。スクールカウンセラーとのオンライン相談は、学習体験が始まってからすでに利用があった。ユア・フレンドとは、以前からある同市の教育相談室の仕組みだ。熊本大学教育学部の学生が週に1回、家庭や学校を訪問して話し相手になる取り組みで、今後希望があればオンラインでもつないでいくという。
定員は今のところ設けない方針で、学習体験は随時参加の応募を受け付けている。来年度も継続して参加を希望するかどうか児童生徒の意向を聞いて体制を整えていく。「オンラインは工夫次第でいろいろなプログラムが可能だと思っています。学習体験の参加者の声も反映して、支援内容をブラッシュアップしていきます」(川上氏)。
(文:編集チーム 佐藤ちひろ、写真はすべて熊本市教育委員会提供)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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