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「見た目で判断」は人間の本能、自覚することで差別をなくす/『美人はそれほど得しない?』著者・山口真美氏に聞く

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『美人はそれほど得しない?ルッキズムの科学』の著者
[著者プロフィル]山口真美(やまぐち・まさみ)/中央大学文学部教授。日本赤ちゃん学会理事長、日本顔学会理事。博士(人文科学)。専門は実験心理学。文部科学省の科学研究費助成事業・学術変革領域(A)「顔身体デザイン」の代表として、文化人類学、哲学、心理学を横断しながら新しい身体のあり方を探る。著書に『ままならぬ顔・もどかしい身体』など(撮影:今井康一)
容姿についての揶揄や誹謗中傷、企業の「顔採用」疑惑など「ルッキズム(外見至上主義)」的な言動に、近年厳しい批判が向けられている。一方、若年層の美容への過剰な傾倒が問題視されることもある。自分と他者の「見た目」に、どのように向き合っていけばよいのか。顔研究の第一人者がヒントを示す。

傷つき方は社会や文化によって違う

──「ルッキズム」という言葉が広まっています。ただ、何がルッキズムと見なされてきたかは日本と欧米とで異なるようです。

『美人はそれほど得しない?ルッキズムの科学』(山口真美 著/ハヤカワ新書/1254円/256ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

外見に基づく差別や偏見をルッキズムと呼ぶ。日本では顔の美醜の話が中心で主に女性を対象とするが、欧米で発端となったのは肥満で性別や顔とは関係なかった。

また、欧米におけるルッキズムが企業の採用や昇進など社会的・経済的な不利益に関わる問題である一方、日本では日常の場面での外見の評価など個人的な問題が注目される。ルッキズムは誰かを傷つけ損をさせるものだが、傷つき方は社会や文化によって違う。

──海外のケースとして、本書序盤で「容姿による収入格差」の研究が取り上げられています。

労働経済学には容姿が収入を左右する「美貌格差」という概念がある。1970年代のアメリカの調査を基にした研究では、容姿が平均より優れているとされた人の収入(平均比)は、女性で8%、男性で4%高く、平均以下とされた人の収入は、女性で4%、男性で13%低かったという。容姿による収入差は確かに生じており、格差は男性でとくに激しかった。

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