歴史家として正したい
──「ウクライナ侵攻はなぜ起きたのか」という問いが本書「はじめに」で提示されています。
2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が起き、当時、専門誌『外交』でこの戦争を歴史的に俯瞰しようと論考を出した。1991年12月にソ連が崩壊してからほぼ30年経過しており、「危機の三十年」という言葉を使った。
冷戦後30年の歴史から、侵攻が起きた理由、この戦争の性質や位置づけ、これからの時代の平和の条件が見えるのではないか。それが本書執筆のきっかけだ。
戦争の直接的原因については、プーチン大統領が「NATO(北大西洋条約機構)側が東方拡大をしないという約束を破ったから」などと発信しており、アメリカやNATOが一方的に悪いとの認識が一部広がっている。歴史研究では、そのような明示的な約束はなかったとの立場が多数であるが、政治的目的のために歴史が歪曲されている実情を、歴史家として正したいという使命感もあった。























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