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勢力均衡が戦争を回避する 日本の防衛強化は時代の必然/『危機の三十年』著者・細谷雄一氏に聞く

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『危機の三十年 冷戦後秩序はなぜ崩壊したか』の著者
[著者プロフィル]細谷雄一(ほそや・ゆういち)/慶応大学法学部教授。1971年生まれ。立教大学法学部卒業。英バーミンガム大学大学院国際関係学修士号取得。慶応大学大学院博士課程修了。博士(法学)。著書に『戦後国際秩序とイギリス外交』(サントリー学芸賞受賞)、『倫理的な戦争』(読売・吉野作造賞)など(撮影:尾形文繁)
冷戦終結後、人々は世界に平和が訪れることを期待した。しかし戦争はなくならず、今も大国が力を振りかざしている。著者は国際政治学の古典、E・H・カー『危機の二十年』を下敷きに、これからの「平和の条件」を探る。

歴史家として正したい

──「ウクライナ侵攻はなぜ起きたのか」という問いが本書「はじめに」で提示されています。

『危機の三十年 冷戦後秩序はなぜ崩壊したか』(細谷雄一 著/新潮選書/1925円/296ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が起き、当時、専門誌『外交』でこの戦争を歴史的に俯瞰しようと論考を出した。1991年12月にソ連が崩壊してからほぼ30年経過しており、「危機の三十年」という言葉を使った。

冷戦後30年の歴史から、侵攻が起きた理由、この戦争の性質や位置づけ、これからの時代の平和の条件が見えるのではないか。それが本書執筆のきっかけだ。

戦争の直接的原因については、プーチン大統領が「NATO(北大西洋条約機構)側が東方拡大をしないという約束を破ったから」などと発信しており、アメリカやNATOが一方的に悪いとの認識が一部広がっている。歴史研究では、そのような明示的な約束はなかったとの立場が多数であるが、政治的目的のために歴史が歪曲されている実情を、歴史家として正したいという使命感もあった。

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