GIGAスクール「ICT化の波」乗れない先生の処方箋 よくあるトラブルや失敗をカンタン解決に導く
『学校ICTサポートブック』は、4章で構成されている。「1章 ICTぼくたちの失敗」「2章 ICTトラブルは突然に」「3章 ICTを語るより教育を語ろう(座談会)」「4章 今すぐICT(Q&A)」と、どれもタイトルがとてもユニークなのだが、目次からトラブル別に解決策を探すことができたり、今さら聞けないICTに関するそもそもの疑問を丁寧に解説してくれている。
例えば“あるある失敗”では、「自分のパソコンの画面を大型モニターに投影しようと思ったのに映らなくて焦った」「授業前日にICTを活用した教材作りに没頭していたら、いつの間にか朝を迎え、授業前にすでに疲労困憊だった」……など、GIGAスクールにまつわる先生たちの悲哀を4コマ漫画で描き、対処法をやさしく、楽しく解説している。
「突然、授業中にネット(Wi-Fi)がつながらなくなってしまった」なんてトラブルも “あるある”ではないだろうか。パソコンのどこ、Wi-Fi機器や無線ルーターの何を確認すればいいのか、どう対処すれば解決するのか、よくわからないのでいろんなボタンを押してみたという経験は誰にでもあるはずだ。授業を中断せざるをえないこともあり、かなり焦るトラブルだが、『学校ICTサポートブック』では “イエスノーチャート”で、今直面しているトラブルの状態を分析しながらベストな解決策にたどり着ける。あると便利、かつ安心といえる一冊ではないか。

イエスノーチャートでベストな解決策にたどり着ける
教員間のICTギャップを埋めるのは、今このタイミングしかないとわかっていても、松下氏がそうだったように、自分自身を変えるにはきっかけがいる。
「私が勤める学校では授業のICT化は試行錯誤の真っただ中であるものの、校務のICT化はそれなりに進んでいます。例えば、よほど特別なことがない限り職員朝礼での口頭の伝達はなく、連絡事項はすべてオンラインの学校コミュニティーツールで行っています。毎朝このツールを使わないと生徒たちに大切な情報を伝えられないので、ICT教育に消極的な先生も使わざるをえません。
ただ、このツールを使っているとちょっとした隙間時間が生まれて、気持ち的にゆったりできると先生たちが気づき始めたんです。ICT化のメリットを実感できれば、授業中に学習支援アプリを使って生徒たちにアンケートを取ってみようかなという気にもなります。そして、実際やってみたら簡単に集計できて、すぐに結果を子どもたちに知らせることができるんだという喜びが得られます。ささいなことでもきっかけがあれば、こうやって一歩一歩進んでいくことが可能なのではないでしょうか」
もしかしたら、失敗していいんだよと子どもたちに声をかけながら、失敗することを最も恐れているのは先生たち自身なのかもしれない。授業中に生徒の前で端末のトラブルが発生したらどうしよう、こんな初歩的なことを聞いても恥ずかしくないかな……と思ったときこそ、一歩踏み出す勇気を持ってほしい。
(文:田中弘美、注記のない写真:cba/PIXTA)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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