志願倍率10倍超えも「小学校受験」超人気の理由 小学校受験2022、最新事情や合格のポイントは

「電車に乗ろうと思っていたら、目の前で扉が閉まってしまいました。さあ、皆さんならどうしますか?」
10月から本格的に始まる小学校入試を控え、受験塾のジャック幼児教育研究所でも指導に熱がこもっていた。指導に当たるのは、同塾の理事 吉岡俊樹氏だ。授業のテーマは、正解のない問いを考える「もしもクイズ」。
「はい!」「はい!」と、元気よく手が挙がる。子どもたちは「近くの大人に、次の電車の時間を聞きます」「改札を出てバスに乗り換えます」「次の電車まで、レストランでご飯を食べます」など、それぞれ思いついたことを答えていく。吉岡氏は言う。
「学校が求めているのは自分の考えを述べたり、トラブルが起きたとき自分なりに工夫したりして対処できる子ども。そんな力を引き出すような授業を心がけています」

(撮影:今井康一)
学校説明会にネットで参加できるようになり併願校数が増加
今、小学校受験をする家庭が増えている。吉岡氏によると、ここ5年くらいは1%程度の微増で推移していたが、昨年は5~10%に急増したという。
「コロナが影響しています。緊急事態宣言で全国の小学校が休校になる中、私立小学校はオンラインで授業をいち早く再開するなど、動きが早かった。一方で公立は、すぐには有効なコロナ対策が打ち出せませんでした。その差が私立に対する信頼につながりました」

(撮影:今井康一)
もう1つが、オンデマンドによる学校説明会だ。通常、学校説明会はどこでも5月の土曜日に開催されることが多く、保護者は限られた人数しか参加できない。ネットで気軽に、いろいろな学校の説明会を視聴することができるようになったことで、1人の児童が受験する併願校数が増加。ネットでの説明会が、小学校受験をする保護者の掘り起こしにもつながった。
「教育意識が高く経済力があっても、小学校は公立でいいという保護者も多かった。そういう潜在的な層が私立小学校のよさに気づき、受験させています。とくに最近の保護者は英語学習に対する要求が高いですが、公立に比べて私立は格段に進んでいる。ほとんどの学校が1年次から英語の授業を行い、ネイティブ講師による会話を取り入れています。そういう点が評価されています」(吉岡氏)
難関大系列校、伝統校、中学受験に強い小学校が人気
小学校受験で人気があるのは、難関大系列の小学校だ。私大の両雄、早稲田大学や慶応大学、青山学院大学、立教大学系列も不動の人気だ。伝統校の聖心女子学院初等科、横浜雙葉小学校、成蹊小学校なども根強いファンがいる。