志願倍率10倍超えも「小学校受験」超人気の理由 小学校受験2022、最新事情や合格のポイントは
「大学を決めるのは先でよいという家庭には、白百合学園小学校や暁星小学校など、難関大学への合格実績がいい小学校が人気です」(吉岡氏)
最近注目されているのが、中学受験に強い小学校だ。ここ数年で、めきめきと難関中への進学実績を伸ばしているのが洗足学園小学校。早慶の系列中高のほか、筑波大附属駒場、開成、桜陰、女子学院、灘など、多くの児童がトップクラスの難関中に合格している。ほかにも中学受験に強い小学校として、目黒星美学園小学校、宝仙学園小学校、小野学園から改称した品川翔英小学校も人気だ。
「中学受験をするなら公立でもよいと思われるかもしれませんが、これらの小学校は児童のほとんどが受験するので、受験に対するモチベーションを高く保つことができます。学校でも中学受験に対応したカリキュラムを導入しており、5年生までに6年間の内容を終えて、最後の1年間は受験対策に充てています。塾と提携している学校もあり、中学受験への道筋をつくりやすいのです」(吉岡氏)
一方で、特徴のある教育を行っている小学校の人気も高まっている。2019年に開校した東京農業大学稲花小学校は、初年度から定員の10倍以上の志願者を集めた。付属の中高が難関大への合格実績を出しているのに加え、農業大学系列という、豊かな自然環境が保護者に支持された。
コロナ禍によるテレワークで、選択する学校にも広がりが出ている。東海大学の系列、菅生学園初等学校もその1つだ。周囲の自然を生かした教育を取り入れるとともに、系列中高に「医学・難関大コース」が新設され、医学部進学の道筋もできている。
「テレワークが普及したおかげで、よりよい環境を求めて都心から郊外に移り住む家族に支持されています。スクールバスを運行しているのですが、ルート上ならば希望する場所に停車してくれるので、安心して子どもを通わせることができます」
小学校入試の選考は学校によって違いはあるが、絵画や工作、ペーパーテスト、行動観察、面接などが課せられる。
「ペーパーや絵画、運動などは点数化されて客観的に評価され、面接や行動観察を通して、その子がスクールカラーに合うかどうか判断されます。学校が合わないと判断すれば、いくら点数がよくても不合格になることがあります」(吉岡氏)

(撮影:今井康一)
選考は子どもだけでなく、願書や面接を通して保護者も見られる。とくに保護者の教育方針が学校の方針と合っているかどうかが、合否に大きく影響してくるという。
「教育方針の違いは大きい。受験する学校を選ぶときは、大学合格実績や授業のカリキュラムだけでなく、家庭と教育方針が似ている学校を選ぶべきです。教育方針に合わないと、後々保護者が苦労します。子どもは変わることができますが、大人はそうはいかない。中高を含めると、12年間我慢を強いられることになりかねません。学校を選ぶときには、実際に訪れて見学したほうがいいでしょう」(吉岡氏)
説明会や面接の服装、家族写真に関する都市伝説
中学校や高校受験のように、試験の点数による明確な合否判断ではないため、いろいろな「都市伝説」が付きまとうのも小学校受験の特徴だ。願書に貼る写真は、某デパートの写真館で撮ると合格しやすい、○○小学校には某デザイナーのスーツがいい、など。