子どもに「スマホは悪」と考える大人の短絡的視点 賢い子ほどスマホを上手に使って遊んでいる

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

とはいえ、勝手に課金サービスを利用しないようにフィルタリングをかけておくとか、生活習慣が乱れないように『食事中にスマホを見るのはやめようね』などと、各家庭で話し合い、ルールを決めておくことも必要でしょう」

スマホによって学習と遊びを両立

デジタルデバイスの活用によって、子どもたちの学びは大きな変化を遂げている。スマホやタブレットがプログラミング教育をはじめ、子どもたちの創造力や思考力を育むツールになっていることは、もはや明白だ。石戸氏らが開催している「全国小中学生プログラミング大会」では、大人も驚くような作品が多数登場しているという。

「例えば2019年にグランプリを取った小学2年生の作品『現実シリーズ2 渋谷スクランブル交差点信号機』は、交差点のシミュレーター。夏休みの自由研究で渋谷スクランブル交差点に何度も通って多くの人や車が行き交う様子を観察し、交通事故が起きない交差点を作りたいと考えたのだそうです。

このように、主催者側が指定しているわけでもないのに、社会課題解決型の作品がとても多いのは驚きでした。今の子どもたちはこういった課題に気づき、それはテクノロジーを使って自分たちにも解決できると考えているのでしょう」

一方で、自分の好奇心を満たすためのサポートアイテムとしてスマホを上手に活用する子どももいる。

「電車が大好きなお子さんが、さまざまな駅を巡り、スマホに電車の発車音を録音していたんです。自分が好きなものをサポートするツールとしてスマホを活用している。大人が使い方を指示しなくても、子どもたちは自分でスマホを使いこなして、好きなことの探求に取り組むのだと実感しました」

また、スマホやタブレットを使い、遊び感覚で学ぶことができるアプリも、今や無数にある。

「例えば、『地図エイリアン~都道府県を記憶せよ~』というアプリでは、リズムに乗せて画面をタップするだけで都道府県の名称や場所などを教えてくれます。うちの子どもは、私がとくにやらせたわけでもないのに、このアプリを活用して小学校に入る前にはたいていの都道府県が言えるようになっていました。

スマホだけではなく、タブレットも幼児がコンピューターに慣れ親しむことに一役買っている(写真:石戸氏提供)

『国語海賊』ではひらがなや漢字を、『算数忍者』では、足し算や掛け算九九を学ぶことができる。また、アメリカの『Lexi’s World』では、pigとタイプするとブタが画面に現れるなど、楽しく英単語を覚えることができます」

さらに、外遊びで使えるものもある。「LINNÉ LENS」は、水族館や動物園でスマホをかざすと生き物を認識して名前を教えてくれる“かざすAI図鑑”だ。

「ほかにも、『コラージュペイント』は、カメラで撮影した風景を切り抜いてコラージュ作品が作れるなど、野外で活躍するアプリはたくさんあります。これまでは対局にあるものとして捉えられていた“外遊びとスマホ”は両立しますし、デジタルデバイスが外遊びの価値をいっそう高めているといっても過言ではないのです」

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事