列車内の無差別凶行、再発防止の手立てはあるか

防犯カメラ設置は進むが、手荷物検査は困難か

小田急線祖師ケ谷大蔵駅から負傷者を運び出す救急隊員ら(奥)=8月6日(写真:時事)
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8月6日夜、東京都内を走行中の小田急線快速急行車内で発生した刺傷事件。日常の足である電車内での凶行は社会に大きな衝撃を与えた。

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走行中は密室となる列車内での事件は、近年数回起きている。2015年には東海道新幹線の車内で乗客が焼身自殺を図る事件が発生。2018年には新幹線車内で刃物による乗客の殺傷事件が起きた。

国土交通省は翌2019年の規定改正で、車内への「包丁類、ナイフ類、なた、鎌、はさみ、のこぎりなど」の刃物持ち込み禁止を明確化。今年2021年7月には、鉄道事業者が乗客の手荷物を検査できるよう法令を改正した。だが、実際には多数の利用者がいる中での検査は難しく、刃物を使用した列車内での刺傷事件が再び発生してしまった。

防犯カメラ設置は進んできた

一方で、鉄道各社は近年、車内の安全対策を推進してきたのも事実だ。代表例は車内の防犯カメラだ。今回の事件が起きた小田急の車両は2020年から運行が始まった新型車両で、車内の4カ所にカメラがある。車内防犯カメラは2007年に登場した東海道・山陽新幹線の「N700系」が設置したのを皮切りに広がり、通勤電車では2010年、痴漢被害が多かったJR埼京線の1号車に試験的に防犯カメラを設けた。

小田急線の車内に設置された防犯カメラ(右上)。「作動中」の表示はあまり目立たない(撮影:尾形文繁)

JR東日本によると、同社は2020年度末時点で、東京100km圏内を走る車両のうち、特急型の「185系」など廃車予定の車両を除く約9000両の車両全てに設置が完了。新幹線も今年10月で引退するE4系以外は設置済みという。

私鉄や地下鉄でも導入が進む。新型車両の導入と合わせて進める例が多く、今回の事件翌日、8月7日に運行を開始した東京メトロ半蔵門線の新型車両「18000系」も防犯カメラ付きだ。同社は2018年度以降、順次カメラを全車に取り付けると発表。現時点では「約4割に設置済み」(同社)で、新車導入や車両改修の際に取り付けを進めているという。

すでに保有全車両に完備した私鉄もある。東急電鉄は2020年7月、同社の全1247両(同日時点)に設置を終えた。

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