「管理しない」校長の改革、ESDで学校はどう変わる まずは教職員が元気な学校づくりで持続可能に

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「学校全体を持続可能にしていくためには、まず第一に、教職員が元気で生き生きと働ける環境づくりが必要不可欠です。当たり前のことですが、教職員が元気で生き生きしていないと、子どもたちも生き生きできません。教職員同士が信頼関係を築き、安心して本音で語り合えるような空間づくりや場づくり、雰囲気づくりに力を注いできました」という住田氏は、「学校を変えていくには、まずは校長自らが、“ルーティン”を変える姿勢や行動を見せていくことが大切です」と言う。

「職員室に当たり前のようにある校長のデスクをなくす」「校長室を校長だけの部屋とせず、教職員が打ち合わせなどで自由に使えるようにする」などが、その一例だ。

「つねに職員室に校長がいると、現場の教職員が発信しづらい面もあります。校長専用のデスクをなくし、あえて『気配を消す』ことが活性化につながるのではないかと考えました。また、校長室は、“校長の部屋”ではなく“教職員と共に戦略を練る場”と捉えています。校長室の風通しをよくし、教職員がディスカッションする光景を目の当たりにしながらビジョンを共有することで、共に学校づくりを進めていくことができます」

現に、取材は校長室で行われたが、取材中多くの教職員が出入りし、自由で開放的な空気が流れていた。

校長室を開放し、教職員が打ち合わせなどで自由に使えるようにしている(画像:住田氏提供)

安心して本音を語れる場で教育目標を話し合う

教職員が元気で生き生きと働ける学校をつくるためには、「年度末から年度始めの2、3、4月が大切です」という住田氏。

「当校では、学校経営の方針を決めていくこの時期に、教職員全員で何回か体育館に集まり、ワークショップを開催しています。『どんな学校にしたいのか』『学校教育目標で目指す子どもの姿はどんなものか』などについて、皆で話し合うのです。忙しい時期なので、1回の話し合いの時間は20分。教職員は皆、多かれ少なかれ『こんな学校にしたい』という気持ちを持っていますので、このような場をつくるとアイデアや意見がどんどん出てくる。場が盛り上がり、時間内に終わらないこともありますが、私一人が皆の前で20分しゃべり続けるよりもはるかに建設的ですし、学校全体の雰囲気も非常によくなります」と言う。

このような場に欠かせないのが、「円たくん」。「円たくん」とは円形のホワイトボードの通称で、「参加者同士がこたつを囲むような温かい雰囲気で本音を語れる場、言いたいことが言える場をつくりたい」という思いから住田氏自らが開発したワークショップツールだ。

参加者同士で「円たくん」をひざの上に乗せるとちょうどテーブルのようになって話しやすくなるのに加え、ホワイトボードに書きながら話し合いを進めることができるため、皆の意見を視覚的に共有できるのも特徴だ。

参加者のひざの上に円形のホワイトボード、通称「円たくん」を乗せ話し合う先生たち(画像:住田氏提供)

「学校の教育目標は、子ども、教職員、保護者、地域、みんなが共有することで初めて機能するものです。参加者の心理的安全性を確保しながらこのような場を重ねて丁寧にビジョンを共有し、教育観、授業観、子ども観の共通点を見つけまとめていくことで、ゴールをすり合わせていくことができますし、子どもたち、保護者、地域に自信を持って発信できる。このような取り組みが『信じて任せる』マネジメントにつながるのです」

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