教員600人調査、約2割が「退職・転職」希望の過酷 「保護者・PTA・地域」対応に大きなストレス

「こうしたストレスをどのように解消できているか?」という質問もしているが、「解消できていない」という回答が多く、「眠る」「解消するための時間もない」という意見も散見され、気分転換などを図る時間もない状況が浮き彫りになっている。
残念ながら、将来に関しての質問でも「いずれ教員を辞めたい」「他職種への転職を考えている」を合わせた回答が約21%に上っていた。

19年には、公立学校の教員の勤務時間を年単位で調整する「変形労働時間制」を導入する法改正案が可決され、教員の働き方改革に文科省も取り組んでいる。しかし、これも現場の実情とはかけ離れているという指摘も多い。
「変形労働時間制」では、残業した分を夏休み期間などにまとめて休めるようになるのだが、実際には部活などがあり、夏休みといえどもまとまった休みを取りにくいのが現実のようだ。何より、この変形労働時間制の適用条件には残業時間の上限が決められており、「月42時間・年320時間以内」となる。例えば、ひと月の出勤日が23日あり、1日2時間程度も残業すれば、この制度すら利用できなくなる。
それでも、「教師の仕事のやりがい、楽しさまたは辛さ」について聞いた質問では、「生徒の成長がやりがい」と多くの先生方が答えている。
「大変なことはたくさんあるし、悩みも尽きないですが、生徒から教えてもらうことや気づかされることが多い。また頑張ろうと生徒が思わせてくれる」といった思わず胸が熱くなる意見もあった。もちろん、やりがいは感じるものの……と、その後に続く言葉も多い。「保護者との確執」や「長時間労働の辛さ」に「業務過多」などだ。次世代を担う子どもたちに「考える力」を育む教育改革は重要だが、それと同時に教員の労働環境の改善が急務なことは現場の声からも明らかである。
この「教師の仕事のやりがい、楽しさまたは辛さ」を聞いた質問について、ここでは紹介しきれなかった全回答をPDFにまとめた。文科省の「#教師のバトン」プロジェクトでは悲痛な声が目立っていたが、本調査では教師のやりがいに対する前向きな意見、本来の魅力に立ち戻ることのできる意見も本当に多かった。PDFは全部で6Pあり、回答も原文のまま掲載しているため、生の声を感じてもらえるに違いない。PDFのダウンロードはこちらから
(注記のない写真はiStock)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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