中学3年間で「英語話せる子」育てたい先生の本気 都立両国からドルトンへ「コミュ中心」授業の今

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中学3年間で、実際に英語で交流できるレベルを目指す

布村先生は、2020年4月に都立両国高校の英語教師からドルトン東京学園中等部・高等部 教頭・英語科主任に就任した。もともと布村先生は、小2から小5までを英ロンドン郊外の現地校で過ごした経験を持つ。東京女子大学現代文化学部を卒業後、銀行勤務を経て、オーストラリアのクイーンズランド大学で応用言語学の修士号を取得。その後、都立国際高校から都立両国高校に移った。

布村奈緒子(ぬのむら・なおこ)
ドルトン東京学園中等部・高等部 教頭・英語科主任
豪クイーンズランド大学応用言語学修士。私立高、東京都立国際高等学校、東京都立両国高等学校・附属中学校を経て、現在ドルトン東京学園中等部で教鞭をとる。13年の全英連東京大会で発表した、生徒が思考をしながら英語で活発に活動を行う授業が評判を呼び、全国から多くの見学者が訪れるようになる。全国各地で講演会を行うほか、授業動画配信や雑誌等各種メディアにも取り上げられる。著書に『テキスト不要の英語勉強法』(KADOKAWA) 。高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説外国語編・英語編執筆協力者

そこで13年に全英連東京大会で発表したアクティブラーニングの授業が評判となり、都立両国高校を見学に訪れる教員が増え、注目の英語の先生となった。そんな布村先生は、なぜ都立両国高校からドルトン東京学園に移ったのか、その理由をまず聞いてみた。

「東京都で教師生活を20年近くやってきて、残りの20年、また違う学校でチャレンジしてみるのもいいのかなと思いました。公立高校でできなかったこと、自分で理想だと思う教育を実践してみたい。そう思って決断したのです」

布村先生が行う英語のアクティブラーニング授業は、多くの教職員の間で評価されているが、そこにはどのような考えがあるのだろうか。

「英語は言葉、あるいはツールであり、それを使っていかにコミュニケーションを取るかが重要であると思っています。アクティブラーニングについても、そもそもコミュニケーション自体がアクティブラーニングだと考えるとわかりやすいのかもしれません。私はそのコミュニケーションに重点を置いて、生徒に意見を言わせたり、話し合わせたり。そうやって、ずっと英語の授業を行ってきたのですが、それが今、たまたまアクティブラーニングだと言われるようになっただけなのです」

いかに言葉を使って、自分の意思を伝えるか。それが言葉を使うことであり、穴埋め問題を解くような授業は本来の意味で、言葉を使うことにはならない。そう語る布村先生は、今ドルトン東京学園で、これまで高校生向けに行っていた授業内容を中学1年生向けに行うという実験を行っている。中学では3年間を通して、英語で実際に交流できるレベルを目指すという。

「授業では最初にゴールを設定して、それを理解させるためのワークショップを行います。生徒たちは英語を習うというよりも、英語というツールを使って、自分の知りたいこと、話したいことを表現していく。母語ではない英語を通して、物事を考え、知っていくことで、生徒たちはもう1つの視点を身に付けることができるのです。また、ティーチングアシスタントもあえて英語が母語話者ではない英語話者を採用しています。もはや英語はイギリスやアメリカのものではなく、共通言語の英語として使ってほしいという生徒への思いがあります」

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