2020年「学校行事」は意外と実施されていた? 第3回全国600人の小・中・高校の教員に向けたICT教育に関する調査②

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共有化があると答えた回答がある一方、「共有化は全くされていない」「共有は全くされていなく、個々人でしている」という4割近くの先生方の意見をどのように吸い上げるか。組織としてバックアップ体制を取れるかが重要になってくる。

修学旅行など中止が44.3%、代替えオンライン活用はこれから

最後に、コロナ禍における学校行事の実施状況とオンラインでの代替えについて見てみよう。

まず宿泊を伴う修学旅行や臨海学校では、2020年度は「予定通り実施した」という回答は全体の10.7%にとどまる。最も多かった回答は「中止」が44.3%、「宿泊なしの近場の場所に行った」が24.0%となった。「中止になったがオンラインで旅行体験をした」のは2%だった。

また、運動会や文化祭となると、「予定通り実施した」のはわずか1.7%となる。いちばん多い回答は「観客がいないなど、小規模に行った」の65.8%だ。「オンラインで代替えの体験をした」のは4.8%であり、「すべて中止」は20.7%に上る。

コロナ禍では、子どもたちは非常に窮屈な思いをしている。もちろん、コロナ禍が落ち着きリアルな体験を子どもたちが取り戻せることが何よりも大切だが、感染対策のために、無観客や規模を縮小する場合には、オンラインの活用も価値がありそうだ。一生懸命に運動会や文化祭の練習をしても、観客がいない。定点カメラなどで学校側になるべく負荷をかけずに動画配信が可能になれば、子どもたちの成長や思い出を家庭でも共有できる。

修学旅行や臨海学校は、リアルな体験に戻れることがいちばんだ。そのうえで、オンラインの活用方法もあるだろう。例えば、コロナ禍以前に、ある学校では上級生の修学旅行の様子をオンラインで下級生に中継し、その地域の文化や歴史の学習に役立てていた。

このように、コロナ禍というよりも今後の体験学習の広がりとして、オンラインを組み込むのは有益だろう。場所の制約にとらわれない分、語学研修や国内外の地域交流なども期待できる。

いずれにしても、いかに日常の教育の中にICTのメリットを生かし、学習を広げていけるかが、今後の教育のカギとなるだろう。まだインフラ環境が整備されていない部分を補強しながら、ノウハウなどのソフト面の共有化が必要とされている現状にあって、まだまだ課題の改善が急務といえる。

調査概要
教員に向けたICT教育に関する調査 調査日:2021年6月3日
小学校教員300名、中学・高校教員300名 平均値48.5歳 対象:全国

 

■過去調査記事■

2021年6月調査

IT環境は整う一方、オンライン授業は課題多し
第3回全国600人の小・中・高の教員に向けたICT教育に関する調査①
https://toyokeizai.net/articles/-/434665

 

2020年12月調査
https://toyokeizai.net/articles/-/399003
https://toyokeizai.net/articles/-/401177

2020年5月調査
https://toyokeizai.net/articles/-/364166
https://toyokeizai.net/articles/-/362680
https://toyokeizai.net/articles/-/362009

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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