IT環境は整う一方、オンライン授業は課題多し 第3回全国600人の小・中・高の教員に向けたICT教育に関する調査①

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東洋経済新報社では、GIGAスクール構想やICT教育に対する現場のリアルな声を理解するため、2020年5月、12月と全国600人の小・中・高校の教員に向けた独自アンケートを実施してきた。さらに、その第3弾となるアンケートを2021年6月に実施した。GIGAスクール構想によるデバイスやインフラ環境が整う中で、現場ではどのような変化が起きているのだろうか? また実践段階に入ったICT教育の課題やポイントなどは見えてきているのだろうか? これまでの調査結果と比較しながら、日本のICT教育の進捗状況を捉えていきたい。

全体の約8割、IT環境が整う

GIGAスクール構想では、公立の小・中学校への2020年度中の「1人1台端末」の配布を目指してきただけに、IT環境は急速に整えられたはずだ。アンケート結果を見てもそれは如実に表れている。

自身の勤める学校のIT環境の整備状況について聞いた設問では、「ほどほどに整備されていると感じる」から「すべて整備されており、今後のプログラミング研修にもすべて対応」の整備状況が良好とする回答が78.5%と大半を占めた。

内訳を見ても、昨年12月の段階では、「ほどほどに整備されている」とした回答は47.5%であり「整備されていると感じる」と回答したのは20.3%だった。これが、6月の最新のアンケートでは、「ほどほどに整備されていると感じる」が39.5%に減り、逆に「整備されていると感じる」の結果が34.5%と増加した。環境の整備という点では、この1年で大きく動いたことがうかがえる。

オンライン授業の実施は微増にとどまる

ただし、そのIT環境をどのように授業に生かしていくか、その点ではまだまだ模索が続いているようだ。オンライン授業の経験を聞く質問では、「オンライン授業をしたことがあり、現在もしている」との回答はわずか5.8%。「オンライン授業をしたことがあるが、現在はしていない」が16.8%。昨年12月と比較をしても、オンライン授業の実施状況に大きな変動はなく微増の状況だ。

オンライン授業が進まない原因には、大きく2つの要因が考えられそうだ。1つは学校が休校になっておらず、対面での授業が行えるため必要性を感じていないこと。実際に、オンライン授業の経験はあるものの現在は行っていないとした回答者にその理由を聞いたところ、多数が「対面授業ができているから、必要ない」との返答が寄せられている。

この点に関しては、これまでも懸念されてきたが、GIGAスクールの目的がきちんと理解されていないことが考えられる。GIGAスクール構想によるICT教育の目的はパンデミックや災害時のみではない。

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