高校中退「UWCから米ミネルバ大」の日本人の素顔 片山晴菜さんを変えた偏差値教育への疑問

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その存在を片山さんは、米国と英国の大学に出願した後に知ったが、ミネルバ大学は出願無料、エッセーの提出も不要だったため腕試しに受けてみることにした。超難関といわれる試験だが、「知識の多寡を問うものではなく、あくまで思考力や創造力を問う試験だったので、むしろ楽しかった」(片山さん)という。ミネルバ大学については合格後に詳しく調べたところ、「この大学は私に合っている」と、ほかの大学はキャンセルしてミネルバ大学への入学を決めた。

ずば抜けた知的好奇心を持つ個性の強い学生の集まり

実際入学してみるとミネルバ大学は、ずば抜けた知的好奇心を持った個性の強い学生の集まりだったという。米アイビーリーグの大学を蹴って入学した学生も少なくなく、自分がやりたいこと、興味があることを追求する志向が突出している学生ばかり。1学年は約180人、そのほとんどが米国以外の留学生だ。片山さんの1年目のルームメートはノルウェー出身で、同国で初めて飛び級を認められた4~5人の学生のうちの1人だった。

1学年の人数は約180人

「ほかの学生もすごい人が多く、1年目を過ごしたサンフランシスコでは、テック企業が開催するハッカソンのイベントでミネルバの学生が表彰台を独占するほど。彼らを間近で見ていて、同世代ながらロールモデルとして見習うものがとても多いと感じました」

片山さんの大学生活は、1年目のサンフランシスコを皮切りに、ソウル、ハイデラバード(インド)、ベルリン、ブエノスアイレス、ロンドンを巡りながら4年間を過ごすことになった。現地では、大学が借りているホテルやアパートなどを拠点とした寮生活。朝9時から始まる授業は、ミネルバ大学が開発した独自のオンラインプラットフォーム「ミネルバ・フォーラム」を使って行われ、寮のほか地元の図書館やカフェなど好きな場所から参加する学生が多かったという。

ミネルバ大学では事前に知識を得たうえで、授業内でその知識を応用することが求められる
(ミネルバ大学HPより)

「通常の授業は知識を得るためのものが多いと思いますが、ミネルバ大学は基本的に反転授業です。事前に知識を得たうえで、授業内でその知識を応用することが求められます。実際の授業では、最初の10 分で習熟度を確認するテスト、その後にディスカッションなどメインアクティビティーを2つ行って、最後は目的としたものを学べたのか課題を通してチェックを受けます。

授業内の発言はすべて録画されており、それを基に先生は定量的・定性的なフィードバックをし、学生は再度学び直すという流れになっています。定期テストはなく、出題課題の知識を授業で応用できていないと成績が悲惨になる。それだけ授業の重要度が高く、内容的にも一夜漬けでは対応できないので、学生は日々真剣に勉強に取り組んでいます」

午前中にオンライン授業を受けた後、午後は現地の企業などとの協働プロジェクトを行う。写真は韓国企業との取り組み

そんな濃い90分授業を2コマこなした後、午後からは産学連携プロジェクトやボランティア活動など実践的な課外活動に取り組む。内容は、大学が事前にお膳立てしたものから、学生自身で機会を獲得したものまでさまざまだ。片山さんは、ソーシャルコンサルティング企業で低所得者層の食料安全保障についてのリサーチや、IT企業での製品開発などのプロジェクトに取り組んだという。現地では行く先々で門戸が開かれ、各自やりたいことに従事できる。

オンラインでも教室の最前列にいるような臨場感がある理由

「世界の各都市を巡りながら、実際の街に出て活動を行うので、学ぶことは本当に多かったですね。現地で現地人と対等に活動するためにはどうすればいいのか。自己主張や傾聴だけではない、異文化に対応するスキルを身に付けることができたと思います。あるいは、異なった土俵でどうすれば活躍できるのか。その人材像など、いろんな人たちのあり方を多面的なアプローチで理解するという経験をすることができたと実感しています」

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