静岡県知事選、「リニア」が争点にならない不思議 川勝氏の対抗馬、岩井氏も「私は推進派ではない」
6月20日に投開票が行われる静岡県知事選は、念願の自民党推薦を得て、直前まで国土交通副大臣だった岩井茂樹・前参院議員が現職の川勝平太知事に挑む与野党の全面対決という構図が決まった。
4選出馬の表明をした川勝氏は“国交省の顔”に岩井氏をなぞらえ、「リニア」を知事選の最大の争点に挙げた。ところが、岩井氏は「国交副大臣というが、水の担当者でもあり、水をどうやって有効的に使っていくのかが仕事だった。国交省だからと言ってリニア推進派ではない」などと逃げ、地域住民の理解と協力を最優先する川勝知事と同じ姿勢だと強調した。リニアを争点に真っ向勝負と見ていただけに、拍子抜けである。
岩井氏は「人口減少の克服」「コロナ禍を乗り越える」など別の県政の課題を重点的に訴えることで、リニアを争点から外したいようだ。出馬表明が遅れたこともあって、現状では、川勝氏が圧倒的に有利である。
自民得意の組織選挙が功を奏して、岩井氏に軍配を上げるために、選挙を主導する自民県連は一体、どんな戦略を立てているのか。
共産も川勝氏を支援
うそかまことか知らぬが、自民県連は83万票台を当選ラインに置いた。コロナ禍という不確定要素があるものの、自民県連には、反リニアを唱える川勝氏の人気ぶりが見えていないようだ。反リニアで圧倒的な支持を集める川勝氏は、今回選では、2013年に自身が獲得した知事選史上最多の約108万票を超える勢いである。
まず、反リニア急先鋒である共産党が今回の知事選では、独自候補者の擁立を見送り、全面的に川勝支援を表明した。2017年衆院選で7つの静岡選挙区で党候補を立て、合計約12万6000票を獲得している。前回知事選では候補擁立を見送り、自主投票としたが、2013年知事選では約6万2000票を獲得した。
衆院選で野党連携を模索している中、共産党の立ち位置は非常に難しいから、川勝選対本部から離れて、側面から支援という戦略を取る。反リニアの象徴とも言える川勝当選に向けて、共産党は一丸となって精力的な活動を展開している。
となれば、共産票だけでも10万票以上が上乗せされることが期待される。
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