中国政府の批判と公正な企業の折り合いに苦慮 世界的衣料小売りH&M女性CEOが心情を吐露

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米ナイキやドイツのアディダス、米アンダーアーマーもH&M同様、新疆ウイグル自治区で生産される綿を使わないと表明したことで、中国側の怒りを買った。中国産綿の約8割が同自治区で生産されている。

大株主の一つは中国批判を支持

H&Mは3月31日、事態の収拾を図ろうと中国へのコミットメントを強調するコメントを発表。だが中国の国営放送局はこれを「誠実さを欠き、空虚な言葉に満ちた二流の広報エッセイ」と呼び、同社がなぜ中国の消費者に謝罪しないのか理由を尋ねた。

ただし、H&Mが中国で展開する店舗は500店を超え、休業に追い込まれたのはほんの一部にすぎない。また、こうした騒ぎには落ち着いていく傾向が見られる。

H&Mの株式0.6%を保有するフォークサムの責任投資・コーポレートガバナンス(企業統治)担当者エミリー・ウェストホルム氏は、強制労働に反対するなど公正な労働環境という点でH&Mは業界のロールモデルだと指摘する。「新CEOはサステナビリティー分野におけるH&Mの強い熱意と高い目標の道を歩み続けている」と言う。

 

ヘルマーソン氏の課題は、嵐を乗り越え、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)を乗り切っていく経営に戻ることだ。「柔軟性と顧客重視は過去1年間の経営方法において重要な鍵だったし、この先も鍵になる」と同氏は説明。「期待する制限の解除が徐々に見られるようになれば、力強く回復すると信じている」と話した。

原題:Unmade in China: H&M CEO Helena Helmersson’s Terrible Year(抜粋)

著者:Anton Wilen、Thomas Mulier

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