現役先生に聞いた「学校のICT活用」の進み具合 小・中・高校、大学の先生と塾関係者が語る実態
薄井 ICTを活用して子どもたちの能力を私たちが伸ばすというより、子どもたちは「面白いなぁー」と思ったら勝手に伸びていくのだと思います。前任校では、休校中の朝のスピーチがオンラインになって、子どもたちは最初、「発表しても伝わっている感じがしない」と思ったそうです。が、そのうちに子どもたち自身で「聞き手が盛り上げたらいい」と気づき、大きな身ぶりや、スタンプでリアクションするようにしたことで解決しました。子どもたちは自分たちで考え、解決する力があります。だから先生は余計なことは言わないように心がけることも大事なのだと思います。
岩居 興味を持てば、子どもたちは予想外の力を発揮します。私は小学生向けの複言語学習も実施していますが、ヒンディー語のネイティブスピーカーが書いたヒンディー語の文字を見て外国語の文字に興味を持ち、自分たちでiPadの手書き入力や、外国語入力用のキーボードを見つけてインストールし、ハングルや中国語の文字を入力するようになっていました。また、地元のイベントでは、自分たちで調べたベトナム語を使ってポスターを作ったりもしていました。
中村 確かに、子どもたちは、こちらが思いも寄らない発想をして、それを表現してくれます。教員の役割は、ビデオ、写真、音声、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)など、子どもたちが得意な表現方法を使って、学びをアウトプットすることができるような環境を整えたり、自分のよさに気づけていない子どもたちの長所をうまく引き出すファシリテーションをしたりすることではないでしょうか。
後編(どう乗り越える?「学校のICT活用」の高いカベ)に続く
2013年、教育現場でiPad(アイパッド)を活用した実践事例をまとめて出版された『iPad教育活用7つの秘訣』の執筆メンバーで結成。全国各地でイベント、セミナー、講演などの活動をしている。教育ICTの実践とノウハウを届けるYouTubeチャンネル「iTeachers TV」をはじめ各種メディアを通じて「新しい学び」に向けた情報を発信している。
(注記のない写真はiStock)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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