「アマゾンで中古車を購入」は根付くか 価格は33万~55万円、返品も可能

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価格は33万円から。車種はバラバラで、1年間の保証が付く

アマゾンのサイトをのぞいてみると、年式や走行距離はバラバラ。同じ55万円でも「ワゴンR」など軽自動車からスバルのSUV「レガシィ」のように新車時ではまったく違う価格帯の車が並んでいる。

中古車の場合、値段だけなら10万円台のものもあるが、質は必ずしもよくない。ネクステージの販売する車は、諸手続込みで、消耗品を新品に交換した上で、1年間の保証を付けている。ネットでは、店舗にかかる建物のコストや営業人件費、広告宣伝費などがカットできるため、浮いた分を消耗品の交換などに充てているのだ。在庫の車両の置き場や整備工場はネクステージが持つ施設を有効利用することで、この価格での中古車販売が可能となった。

ただ、リスクもある。返品率が高くなったり、保証期間の故障が多く整備費用がかさんだりすれば、採算が合わなくなる。また、安定的な仕入れができるかどうかもポイントとなる。仕入れは中古車オークションが中心だが、円安下で中古車の輸出需要は活況。その反面、消費増税の反動減などで新車販売が鈍る中、オークション市場への出品点数は減少傾向にある。中古車のオークション相場が上がりやすいことは懸念材料だ。

リスクの少ないアマゾン

それでも、本格的な中古車のネット販売に取り組むのは2つの理由がある。

一つは、販路の拡大だ。従来の中古車販売で成長を目指すには出店拡大しか方法がなかった。が、大手軒並み出店を強化しており、優良物件の取得は難しい。出店ペースに合わせて店長や営業要員を教育・育成していく必要もある。ネット販売を軌道に乗せることができれば、成長の可能性は一気に広がる。

もう一つは、ライトユーザーを獲得するためだ。中古車販売店の顧客の大半は自動車に詳しいユーザーで、そもそもライトユーザーにとって来店の敷居自体が高い。こうしたライトユーザーを取り込み、もっと高い中古車にステップアップしてもらう。

アマゾンにとってはメリットが大きい。販売するための「場」と決済システムを提供しているだけなので、根付かなかったとしても、在庫リスクなどがあるわけではない。それよりも、中古車のネット販売がうまく定着すれば、その他の高額商品の取り扱いにも道をひらくことにもなる。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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