――日本における小中高の教育については、どのように見ていますか。
私は現在の小中高の教育にそれほど問題があるとは思っていません。基礎的な教育は徹底されており、先進国の中でも優れていると思います。それは今の社会を見れば、わかることです。基礎的なスキルは高いのです。
そもそも義務教育は独学の非効率な部分をなくすためにあります。もっと言えば、小中高の教育はこれまで社会が蓄積してきた最新かつ重要な成果を広く教え、その人が生きていくうえでの苦労を減らすことにあります。
その基礎を高校までに構築したうえで、大学でクリティカルシンキングを覚えます。クリティカルシンキングの目的は本質を見極めることです。社会としては、クリティカルシンキングが充実していないと、感覚的な意見、感情的な意見ばかりで前向きな方向に進みませんし、建設的な話もできません。問題の本質を見極め、解決していく。この日本という国を豊かにしていくには、クリティカルシンキングが欠かせないのです。

小西美術工藝社 社長
元ゴールドマン・サックスアナリスト。1999年に裏千家入門、2006年茶名「宗真」を拝受。1965年イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。92年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くリポートを発表し注目を浴びる。98年に同社managing director(取締役)、06年にpartner(共同出資者)となるが、マネーゲームを達観するに至り、07年に退社。09年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手がける小西美術工藝社入社、取締役就任。10年代表取締役会長、11年同会長兼社長に就任し、日本の伝統文化を守りつつ伝統文化財をめぐる行政や業界の改革への提言を続けている
(撮影:梅谷秀司)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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