ユーグレナ「会社のナンバー3に高校生」の思惑 ペットボトル全廃、忖度ない意見にあたふた

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その意味で、今は親の職場に遊びに行くとか、就業体験をするとか、大人たちとの交流の場をセッティングできる学校が伸びると思っています。実際、そういう場をセッティングできる校長や先生がいる学校が伸びていて、いずれも有名進学校ばかりです。私も文化祭などで講演のオファーがありますが、高校生が自分で会社に電話をかけてきたり、会社のSNSでつながったりして、オファーしてくることもあります。

それはまさにデジタルネイティブのよいところですよね。そうしたデジタルツールを上手に使いこなしている子どもたちが多い学校ほど活性化しています。これからは同世代だけで付き合っているか、違う世代と付き合っているかで差は広がっていくと思いますね。

――では、昔と比べて今の子どもたちに足りないところはありますか。

そんなもの、ありません。少なくとも私たちにコンタクトしてくる子どもたちは面白い子ばかりです。むしろ今は、中高生に大人が教えてもらったほうがいい。経営者こそ、彼らから学ぶべきだと考えています。これまでうまくやってきた人たちが、デジタルネイティブといわれる若い世代に教えることは少なくなっているはずです。それは今までの延長線上に未来はないからです。新たなことは子どもに教わったほうがいいのです。

一方、学校の先生は今いちばん大変なところで頑張られていると思います。デジタルに対応していかなければならないから。さらに、これから「教える」ということよりも、もっと子どもたちを元気づける、勇気づけることが必要になっていると感じています。今は社会の変化によって、学校の役割も変わってきています。大学も教育や研究だけでなく、地域社会の中で社会実装もやらなければならない時代になりました。

それと同様に、現在の小中高校も教えることに偏りすぎていては駄目なのです。それだけ「教える」という価値が今、低下している。知識という点で、グーグルやAIよりも価値を提供できる先生は世の中にはいません。だからこそ、もっと子どもたちに対してヒューマンタッチであるべきなのです。AIやロボットができないことこそ、元気づけや勇気づけ。これが教育者の本質的な価値であり、放棄をしてはいけない。これからは子どもたちに対して使命感や強い思いを持った教育者こそ、社会を変えていく大きな力になっていくと考えています。 

出雲充(いずも・みつる)
ユーグレナ 代表取締役社長
駒場東邦中・高等学校、東京大学農学部卒業後、2002 年東京三菱銀行(現東京三菱UFJ銀行)入行。05 年ユーグレナを創業、代表取締役社長就任。同年 12 月に、世界でも初となる 微細藻類ミドリムシ(学名:ユーグレナ)の食用屋外大量培養に成功。世界経済フォーラム (ダボス会議)ヤンググローバルリーダー、第1回日本ベンチャー大賞「内閣総理大臣賞」 受賞。経団連審議員会副議長。著書に『僕はミドリムシで世界を救うことに決めた。』(小学館新書)がある 

(撮影:今井康一)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

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