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「折口帝国」陥落! 外資傘下で再建なるか

ついに”帝国”は陥落した。

人材サービス大手グッドウィル・グループ(GWG)は11日、創業者でグループ総帥の折口雅博会長らが経営責任を取って辞任し、米投資ファンドのサーベラスと米証券大手のモルガン・スタンレーの傘下で経営再建を目指すと発表した。

外資連合はGWGのメインバンクであるみずほ銀行から、半値以下で買い取った約1000億円の貸出債権の一部を優先株へ転換するなどの手法で、最終的にGWG株の過半近くを握る見通し。GWGは、元大和証券副社長の堀井愼一氏を新社長に据え、好採算の技術者派遣事業を軸にした再建を模索する。折口会長は関連会社米国法人の「アドバイザー」としてグループに残るが、経営実権は完全に剥奪された格好だ。
 
本業再建はイバラの道

資金面での懸念はひとまず回避されたGWGだが、「本業」の再建はそうたやすい話ではない。事業停止命令を受けた日雇い派遣はいうまでもないが、新経営陣が期待する技術者派遣も、事業環境は厳しいからだ。

専門技術者を常用雇用してメーカーの設計、開発部門に派遣する同事業は、技術者の採用が成長のカギ。ところが客先であるメーカー勢が自社採用を積極化した結果、競争が激化して採用コストが増大。新規参入も相次ぎ、業界を牽引するメイテックですらここ数年来、利益成長は停滞を余儀なくされている。
 
 GWGの技術者派遣会社「シーテック」の置かれた環境はさらに厳しい。同社元幹部は「コムスン問題以来、主要顧客である大手メーカーの使い控えが長引いている。それでも課される採用ノルマをこなすために無理な採用を重ねた結果、客先に派遣できずコストのみ発生する待機社員が急増した」と明かす。

外資連合も当面は自主再建路線を選択する構えだが、復調に手間取るようだと、事業切り売りに転じる可能性もある。7日には、技術者派遣中堅のVSNの筆頭株主に投資ファンドのSBIキャピタルが登場。業界再編に備えたM&A戦略の支援を強調するなど、業界全体でもにわかに再編気運が高まる。その引き金にもなりうるGWG再建の成り行きを、関係者はかたずをのんで見守っている。
(風間直樹 =週刊東洋経済)

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