苦境の三菱自動車、「拡大路線」で生じた大誤算 加藤CEO「押し売りに近い状況になっていた」
アライアンスに慣れていなかった
――2016年に日産自動車と提携した後、欧米や中国などメガマーケットを軸にした拡大路線を志向しましたが、多くの目標は未達に終わりました。どこに誤算があったのでしょうか。
前回の中期計画で掲げた拡大戦略では、とにかく販売台数を増やせばいいということで、インセンティブ(販売奨励金)もいっぱい使って、押し売りに近いような状況になっていた。加えて、欧米向けの新車開発がどんどん増え、人も設備も足りない。他社は新しいソフトウェアを導入し、われわれもやらなければということで、どんどんお金を使ってもいいのだと、社員のマインドが一気に緩んでしまった。
また、欧米向けの車種は先進運転支援技術などCASE対応が必要で、そのためのコストも膨らんだ。EV(電気自動車)は今、どこの会社も儲かっていない。非常に高い開発費をかけても儲からないのなら、東南アジアなどほかの地域とのバランスを考えて開発すべきだった。
――提携先の日産自動車も現在、カルロス・ゴーン元会長が進めた拡大戦略の後遺症に苦しんでいます。
仏ルノーも含めたアライアンス全体が同じ(拡大)戦略をとったので、3社とも今、そこで苦しんでいる。当社が2016年からアライアンスに加わり、販売台数が3社合計で世界1位になり、当時は利益も結構上がっていた。それで「アライアンスの言うとおりにやっていれば今後は大丈夫だ」というマインドが社内に生まれてしまった。アライアンスというものに三菱自動車が慣れていなかった。
――慣れていなかったとは?
日産やルノーが持っている技術など、必ずしもアライアンスのアセットすべてが自分たちのためになるわけじゃない。そこは当社が精査・検討をして、「こういうところは自社に取り入れるべきだ」「ここは自社にはメリットが少ないから必要ない」という判断をきっちりやる必要があった。自分たちで中身を検証できていなかった。
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