立教大学の中原淳教授が実践した「ラジオDJ」講義とは? 学生満足度向上の理由、オンラインで「つながり」続ける授業設計がカギ

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新型コロナウイルス(以下、コロナ)の影響で多くの大学はオンライン授業が続く。大学は、学生数、通学・移動距離、キャンパス内の移動など規模がとても大きく、安易に通学再開ができない。「それでも学生のつながりが途絶えてはいけない」と語るのは、立教大学経営学部教授の中原淳氏。「学び」を軸にオンライン授業でつながり続ける方法にたどり着いた中原氏に、学生に向き合ったこれからの大学教育について話を聞いた。

「つながり」絶やすまいと、ゼロからのスタート

――立教大学はコロナ禍で比較的早い段階からオンライン授業に着手された印象です。もともと中原先生は、オンライン授業に取り組んでいたのですか?

コロナ以前はすべてがアナログ。いわゆる黒板とチョークを使った授業で、オンラインの「オ」の字もなかったんです。今年の3月にオンライン授業が決まった時は、すべて最初からつくり直して本当に大変でした。

私の授業では、もともと、学生に問いかけて反応を引き出すようなインタラクティブなやり方を心がけていました。だからこそ、すぐにオンライン授業に対応できる教材もなかったのです。

学生の皆さんがいちばん苦労していると思いますが、教員自身も慣れないオンライン授業でヘトヘトになりながら、翌日の準備をするという自転車操業でした。

――今回、オンライン授業を始めるきっかけは何だったのでしょう?

コロナの世界的感染拡大を受けて急激に学生が学びから離れ、学校側から学生が見えなくなったと思う瞬間があったことがきっかけです。

私が学部で持っているゼミでは、今年の3月に企業人事を招いた学生の成果発表会と、新年度から始まる授業に向けた合宿というビッグイベントが2つあるのですが、いずれも学生にとっては非常に重要なもの。これらが中止になった時、学生がひどく落胆し、学びのモチベーションが地に落ちたように見えました。

これは、どんな手段を使ってでも学校と学生のつながりを維持しないと大変なことになると感じました。授業以前に、学生との「つながり」を途絶えさせてはいけないという意識がいちばん強かったです。

「つながり」と言っても、ただオンライン上で集まっていればよいというわけではないので、教育機関である以上、大学として「学び」を軸に試行錯誤を始めました。

中原 淳(なかはら・じゅん)
立教大学 経営学部 教授。立教大学大学院 経営学研究科 リーダーシップ開発コース主査、立教大学経営学部リーダーシップ研究所 副所長などを兼任。博士(人間科学)。専門は人材開発論・組織開発論。北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学講師・准教授等を経て、2017年〜2019年まで立教大学経営学部ビジネスリーダーシッププログラム主査、2018年より立教大学教授(現職就任)

試行錯誤のオンライン授業で学生の満足度・効果ともに高水準

――授業にはどのような工夫をされたのですか?

これまでの対面授業では、教員主体の「オンステージ型」で十分成り立っていました。ですが、オンラインでは学生の集中力が長時間持たず、無理だとすぐに悟ったんです。

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