富山LRT、直通運転で消えた便利な「セルフ乗車」

2022年開業予定の宇都宮では導入目指すが…

「富山つながる、ひろがる。」と書かれた電車側面。しかしセルフ乗車はなくなった(筆者撮影)

富山市内の路面電車2社(富山地方鉄道と富山ライトレール)は2月22日に合併した。3月21日から両社の路面電車路線のレールが富山駅停留所でつながって、路面電車の一体運用、直通運転が始まった。この直通運転を富山市は「富山駅路面電車南北接続開業」と称している。

運賃は、利用者本位に合併前の両社の210円均一をそのまま引き継ぎ全線210円均一とした。電車の直通だけでなく運賃も直通するところとなった。

しかし、問題は「セルフ乗車」だ。富山市は路面電車を市民の重要な生活インフラと位置づけ、富山ライトレール(愛称ポートラム)と富山都心線(環状線)を開業してきた。そのポートラムにはICカード乗車券利用者限定ながら、無人の後部扉(乗車専用)での降車を可能とする世界標準の運賃収受方式であるセルフ乗車を導入していた。

乗った扉からの降車は便利で、混雑した時間帯や、とくにベビーカーを伴ったお母さんは難儀な前部扉(降車専用)までの車内移動というバリアから解放された。

MaaSの時代に逆行

ところが南北接続でこのセルフ乗車は取りやめになり、全線が旧来の路面電車に戻ってしまった。MaaS(マイカー利用を減らすために、マイカーと同等かそれ以上に魅力的な交通サービスを提供し、持続可能な社会を構築してゆく概念)の時代に、セルフ乗車がこつぜんと消えるとは信じがたい。

富山ライトレールはセルフ乗車を導入していたが、富山地鉄は導入していない。合併によって、この優れた仕組みが消えてしまった。セルフ乗車取りやめはコスト負担の問題があったのかもしれない。

路面電車には駅舎がなく、改札機がなく改札要員もいないため、車上で乗務員が運賃を収受せざるをえない。路面電車の車掌は駅の券売機に、車両の乗降口(扉)は駅の改札口に、運転士と車掌は駅の改札機に相当する。車掌が乗車券を売り、前扉で運転士が後扉で車掌が集札した。大型な車両、例えば長さが18mの連接車の場合は車掌が2人乗務して扉3カ所3人で集札した。

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