新型コロナ、国際列車が運ぶ「地続き」欧州の危機 イタリア大幅減便、各国でキャンセル無料に

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イタリア発着の国際列車については、フランス方面の全列車、およびオーストリアとイタリア北部各都市を結ぶ列車については、3月10日から4月3日まで全便がキャンセル、それ以降についてはイタリア政府の決定に基づいて決めるとしている。

ミラノからウィーンへ向かう夜行列車はすでに運行を取りやめた。最近までイタリアへの列車は通常運行だったオーストリアも、残りの全列車の運行停止を決めた(筆者撮影)

3月10日時点で国境間が封鎖されていなかったイタリア―スイス間の列車は、当初は運休などの措置は取られていなかったが、両国間の移動者数が減少したことに加え、運行に必要な乗務員を確保するのが困難となり、現在は減便を余儀なくされている。

スイス国鉄は、新型コロナウイルスの影響で中止となったスイス国内のイベントに参加するために購入した乗車券は手数料なしで払い戻すとしたものの、イタリアへの乗車券を含むそれ以外の乗車券については、通常の払い戻し規定が適用される。

イタリア政府が国内外の移動に制限を掛けている以上、イタリアへ移動を予定していた人たちはキャンセルせざるをえない状況となっているが、この対応については今後、議論を呼ぶことになりそうだ。

イタリア以外の国は?

イタリア以外の国では、各国とも状況に応じた対応がなされている。

フランスの高速列車TGV。フランスでは列車の運休といった影響はないが、購入した乗車券の払い戻しには手数料なしで応じている(筆者撮影)

欧州初の感染者が出たフランスは、現時点ではイタリアほど爆発的に感染者が増えているわけではないため、鉄道を含む公共交通機関に関して、とくに移動の制限などは出されていない。しかし現在の情勢を踏まえ、すでに購入済みの乗車券については、手数料なしでの払い戻しや変更を受け付けている。

ドイツも現時点で移動制限などは出ていないが、新型コロナウイルスの影響がある地域を含む乗車券をはじめ、中止になったイベントへの参加予定者、あるいは宿泊予定だったホテルが閉鎖になるなど、旅程内で新型コロナウイルスによる影響が認められた場合、手数料なしでのキャンセルを認めている。

ただ、フランス、ドイツの両国ともに感染者数が1000人を超えたため、今後は移動制限が出される可能性も否定できない。

スペインやオランダなど、現時点で影響が少なく、移動制限もない国々については、特例によるキャンセルは認められず、通常のキャンセル規定が適用される。

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