嵐は残り1年間で何を見せようとしているのか SNSを解禁、20周年会見で見せた思いと本音

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たとえば、彼らの先輩にあたる新しい地図(稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さん)がそれぞれのアカウントを持っているのとは真逆で、やはり「嵐は5人で1人」「個人の前にグループ」という彼らの軸足は一歩たりともブレていませんでした(前述した軸足力)。

また、「SNSの期限は決まっていない」というだけに、2021年以降も5人それぞれが共有のアカウントに投稿することで、変わらない関係性を伝えることが可能。「嵐ロス」に襲われるファンを安心させるとともに、「嵐」という名前にふれられる貴重な場になるでしょう。

ラグビー日本代表にも通じるスタンス

「活動休止が1年あまりになった今こそファンとの絆をもっと深めたい」を感じさせるコメントもありました。

特に嵐のコンサートで演出を務めることの多い松本潤さんは、これまでファンのツイートを見て参考にしていたことを明かしたうえで、「だから(SNSを)はじめられることがうれしいですし、一方的だったのが双方向になるのが楽しみ」と喜びを隠さなかったのです。

彼らは個人よりもグループとして、ファンとの絆を最優先に考えているからこそ、負担やリスクを承知で、ツイッター、フェイスブック、インスタグラム、TikTok、Weiboと、いきなり5つものSNSをはじめたのでしょう。こんな生まじめさや一生懸命さがファンの「応援したい」という気持ちを促しているのですが(前述したハコ推し力)、徐々に活動休止が近づいてきた今、そんな思いが高まっていることを感じます。

「ファンとの絆を最優先に考える」という姿勢はSNSだけでなく、シングル全65曲のデジタル配信に対しても同じ。松本さんは、「いつでも自分たちの音楽を楽しんでいただきたい」「活動休止している間も寂しい思いをせずに楽しんでいただきたい」と、2021年以降に活性化するであろう個人活動より、あくまで嵐としてファンに寄り添うことを第一に考えているのです。

アイドルには、「個人をベースにしてグループに生かす」「グループをベースにして個人に生かす」という2つのアプローチがあり、どちらかを選んで活動することになりますが、嵐は明らかに後者。とかく個人の尊重が叫ばれる世の中になりましたが、ラグビー日本代表が選手やスタッフにファンを加えた「ONE TEAM」を掲げて支持を得たように、人々の心を打つのは嵐のような「(ファンを含めた)グループをベースにして個人に生かす」というスタンスなのです。

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