青春18だけじゃない、「お得な切符」で気まま旅 夏が終わっても「使える切符」は見つかる

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翌朝は吉松に出て、8時46分発肥薩線人吉行きに乗車した。吉松―人吉間は矢岳峠越えの日本三大車窓、ループ線やスイッチバックも楽しめる屈指の絶景路線だが、1日3往復のみ、内2往復はいさぶろう・しんぺい号という観光列車となる。つまり日常の列車は1日1往復ということになる。絶景ということは日常の客もいない、と理解すべきなのかもしれない。

吉松駅(筆者撮影)

この列車は人吉で30分停車のあと八代行きと変わり、日本三大急流の1つ、球磨川沿いを進む。川面に浮かぶラフティングのボートを眺めながら八代に出て、熊本での試合観戦へと向かったのだった。

翌日は旅名人きっぷをフル活用することとして、第三セクターの肥薩おれんじ鉄道で八代海や天草灘の海面が間近に迫る車窓を眺め、JRに乗り継ぎ最終的に宮崎空港から帰途についた。

関東在住者には「週末パス」も

もう一例、東日本に住む人であれば、週末パスが使いやすい。週末のJリーグ観戦にもぴったりで、最近ではアルビレックス新潟戦とモンテディオ山形戦で活用した。

昨年の新潟遠征では只見線を経て会津若松に泊まり、翌日磐越西線で新潟に向かった。いずれも川沿いを進む風光明媚な路線だ。

山形遠征では、去年は新潟の酒を味わえる観光列車「越乃Shu*Kura」を体験し、今年は越後線に向かって、JR東日本では残り少なくなった115系という昭和に製造された電車を懐かしんだ。

両年とも新津から羽越本線に乗って、日本海の景勝笹川流れの奇岩や岩礁を堪能したのち、酒田で宿泊した。翌日、陸羽西線を利用して山形に向かったのだった。酒田は週末パスの北限なのできっぷをフル活用した満足感も得られる。

その酒田では、訪れてみたかった寿司屋で1人飲んでいると、隣にいたおっさん2人組に話しかけられ、大変話が弾んだ。こんなことがあるのも旅の楽しみだ。

また、地元の人と会話することで外からはわからないことを知ることもある。以前訪れた町では、深刻な医師不足の悩みを聞いた。そんなとき、旅行者とは訪れた土地のことを何も知らずに「きれいだ、旅情がある」と喜んでいるだけなのだなあ、と痛感する。

そしてもっと旅をしたい、と思うのだ。

八田 裕之 週末旅行家

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はった ひろゆき / Hiroyuki Hatta

1967年生まれ。武蔵工業大学(現:東京都市大学)工学部電子通信工学科卒。JR全線完乗した鉄道ファンにして、Jリーグをこよなく愛する。平日は会社員だが休日はJリーグ遠征で全国奔走の日々。フュージョンバンド「Quiet Village」のリーダーとしてギターと作曲を担当、オリジナルアルバム発表、鉄道コンピレーションアルバム参加など、音楽活動も行う。

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