青春18だけじゃない、「お得な切符」で気まま旅 夏が終わっても「使える切符」は見つかる
さて、日豊本線を大分から南下する場合、宮崎との県境を越える佐伯―延岡間が難関だ。特急が1時間に1本あるのに比べ、下り普通列車は佐伯を早朝に出る延岡行きの1本のみなのだ。ここだけは特急を使わざるをえない。
そこで9時50分発の普通列車で臼杵まで進んでおき、後から追いついてくる特急にちりんシーガイア7号に乗り換えることで、乗車区間をなるべく短くするつもりだった。
しかし電光掲示板を見上げると、大分駅をすでに出発しているはずの9時10分発にちりん5号に「50分遅れ」の表示が出ており、乗るはずの臼杵行きもこの特急を先に通してから発車するとの放送が入った。ダイヤの乱れは宮崎方面にも及んでいたのだった。
こんなトラブルのときこそあわてずに、むしろ旅の醍醐味と捉えたい。
遅れても予定どおりの普通列車に乗るべきか、それとも大分から特急に乗ってしまうべきか。このときは、特急料金と乗車券代が余計にかかるが後者を選択し、にちりん5号に乗車した。
古さをサービスで補う温泉宿
結局、にちりん5号は定刻から約1時間遅れの12時ごろ、延岡に到着したが、それはもともと利用予定だったにちりんシーガイア7号の到着時刻でもあったので、ここで無事当初の予定に戻ったのであった。
延岡では人気のチキン南蛮の昼食とし(驚くほどの行列で危うく列車に乗り遅れそうになった)、さらに南下して、宮崎発隼人行き普通列車に乗車した。これは宮崎を15時34分に出発し、日豊本線、吉都線、肥薩線と経由して、20時36分に隼人に到着する今どき珍しく長時間をかけて進む列車だ。キハ40系という昭和のディーゼルカーで郷愁も味わえる。
もっとも通しで乗る客はなく、入れ替わっていく地元の人々に紛れながら移り変わる車窓を眺め、吉都線の終点吉松にほど近い京町温泉で下車した。1泊2食8450円の温泉宿を見つけたのだ。以前の記事(1泊2食1万円以下の「温泉宿」を探す楽しみ)に書いたが、この価格帯の温泉宿は、建物は古くてもサービスで補おう、と感じるところが多く、好んで泊まっている。ここも大正時代から続く宿で、あぶりたての鮎をはじめ、驚くほどの量の料理と何時でも入浴できる温泉を楽しめた。
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