飯島彰己・三井物産社長--資源・エネルギーへの投資は手を緩めない

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 自然エネルギーでは、太陽光は二次電池なども交えて総合的に取り組んでいく。自動車はハイブリッドなのか電気自動車なのか自動車産業全体を見て仕事をしていく。人口問題もこれから深刻化するので、食糧や水事業にも力を入れたい。ほかにメディカル・ヘルスケアもあれば、資源ではウラン、原子力も手掛けていく。やるべきことはいっぱいある。

--物産の昨年度業績は当初計画からの減額幅が特に大きく、最終利益で住友商事に抜かれて業界3位に転落しました。今年度の予想利益も住商、伊藤忠商事と同水準です。

確かに前期は利益絶対額で業界3番目。ただし、当社は相当に厳しい減損基準を採用しているので、2番だ、3番だと騒がれるのは、正直、どうなのかと……。今年度の業績予想も為替や市況などの前提条件が会社ごとに違うわけだし、当社として予想数字はボトムラインという認識だ。しかし、そうはいっても、こうした状態が長く続くのは、個人的にはあまり気持ちいい話じゃない(笑)。3~4年の期間で、きちんと実績を示していくつもりです。

--槍田松瑩前社長は、国後島発電設備の不正入札事件を受けての登板だったこともあり、数字よりも「よい仕事」がいちばん大切だと言い続けてきました。槍田時代は数字を最優先しなくても、好景気で業績は非常によかった。経済環境が変わって業績が悪化した今でも、「よい仕事」を掲げ続けますか。

もちろんです。よい仕事とは、パートナーやお客さんのためになる、有意義で付加価値のある仕事です。社員個人にとっては、やりがい、納得感のある仕事。私は「人の三井物産」と言われるように社員の個の質をもっと高めたい。個の質とはビジネスの知識、ノウハウだけではない。もっと大事なのが倫理観です。向上心、謙虚さ、そういった心技のバランスのとれた人材を育てたい。よい仕事を積み上げていけば、おのずと収益もついてくるはずです。この考え方は変えません。

(聞き手:渡辺清治、山田雄大 撮影:今井康一)

いいじま・まさみ
1950年生まれ。74年、横浜国立大経営学部卒、三井物産入社。鉄鋼原料畑を歩み、2005年に金属・エネルギー統括部長。07年、執行役員・金属資源本部長、09年4月から現職。

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