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科学の再興&軍民両用技術の推進、新たに策定される政府の「科学技術・イノベーション基本計画」に交錯する期待と懸念

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素案では「科学の再興」に関して「10年以内にトップ10%補正論文数を世界3位に復権する」という目標を掲げ、その具体策の1つとして、国立大学法人に配分されている運営費交付金、施設整備補助金、私学助成などの基盤的経費を「着実に確保する」と明記した。

これはアカデミアにとって最大の朗報といえるだろう。

04年の国立大学法人化以降、運営費交付金は年々1%ずつ減額され、近年はほぼ横ばいだった。文部科学省によれば、法定福利費の増加や消費税率引き上げの影響などによる目減りを考慮すると、実質的な減額は約1900億円に及ぶ。

多くの国立大学では大幅な人員削減を余儀なくされ、老朽化した建物の改修すらままならない。全国85の国立大学法人が加盟する国立大学協会(国大協)は24年の声明で、「寄付金などの外部資金や自ら収入を増やす努力も進めているが、もう限界だ」と窮状を訴えていた。

この運営費交付金について、素案には「物価・人件費の上昇等を踏まえつつ、大幅な拡充を図る」と記されている。遅きに失した感は否めないが、かなり画期的な方針転換といえる。

早くも26年度の当初予算案では前年度より188億円多い1兆971億円が計上された。法人化してから初めての本格的な増額だ。

基盤的な経費を厚くして独創力を引き出す

科学研究費補助金(科研費)についても同様に、「大幅な倍増」がうたわれている。それも大きな進展なのだが、「再興」にとってより重要な意味を持つのは運営費交付金のほうだと筆者は考える。

競争的資金の審査では実現可能性や短期的な成果が求められる傾向があり、真に独創的かつ萌芽的な研究はなじみにくいからだ。法人化以前は、大学が基盤的経費から所属の研究者に配分する個人研究費がそうした研究の元手になっていた。

素案でも「競争的研究費のような『選択』という手続を経ない、研究者の自由な発想に基づく多様なボトムアップ型の研究を支える基盤的経費を十分確保すること」が「再興」に不可欠な要素として挙げられている。

将来的にどれだけ増額するのか。

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