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日本初「つわり治療薬」開発に持田製薬が名乗り/世界43カ国で承認済みも日本では未開発のナゼ

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一方、アメリカや欧州の一部でつわり治療の第一選択薬になっているのがボンジェスタだ。

ビタミンB6と抗ヒスタミンを配合した経口薬で、吐き気を抑制する。ビタミンB6はアミノ酸代謝や神経伝達物質の合成を助ける働きがあり、抗ヒスタミン剤は嘔吐中枢の興奮を抑える。鎮静効果があり、夜間の睡眠改善にも効果的だ。

胎児への薬による影響が最も懸念される妊娠初期に使用するため、安全性には高いハードルが課される。過去には安全性をめぐる議論もあったが、20万件を超える膨大な臨床試験データによって安全性が示されている。ボンジェスタの成分は、アメリカでは50年代から使用され、3500万人以上の使用実績がある。

実は過去、女性領域に強みを持つ富士製薬工業など、国内でも開発を検討していた企業は存在した。しかし治験のハードルが高く、開発への道のりは険しかった。

学会の中にも慎重論

18年に日本産科婦人科学会は厚生労働省に対し、ボンジェスタの開発企業を公募するよう要望を出した。その後も複数の企業が開発を検討してきたが、今回持田製薬が導入を決めるまで、最終決定に至らなかった。

海外で使われている医薬品が日本で開発されない状態のことを「ドラッグロス」というが、まさに同薬はこの状態に陥っていたといえる。

なぜ、ここまで国内での開発に難航したのか。

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