官邸幹部「核兵器保有論」韓国のケースからみる現実性のなさ、日本がすべきは「非核三原則」の維持と世界的な核不拡散・核兵器禁止の推進だ
では、韓国は核武装できるのか。現状はまだ賛否両論の「議論」、あるいは「意見発表」の段階にすぎず、韓国大統領や韓国政府が主導的に核武装の方向へ進んでいるということではまったくない。
ただ、2023年4月に当時の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領がアメリカのハーバード大学での講演で、「核武装を決心すれば、早いときに、さらには1年以内にも核武装ができる技術基盤を持っている」と述べたことがあるが、その後のクーデター騒動で影響力を完全に失った。韓国の一部メディアでは「6~8カ月以内に1兆ウォン(約1055億円)をかけて核兵器の製造が可能」と報道したことがある。
このような状況を、韓国の著名な平和運動家であるハンギョレ平和研究所の鄭旭湜(チョン・ウクシク)所長は「アメリカのトランプ大統領が韓国の核武装を黙認することがありえるのではないかという期待感と同時に、トランプ氏が北朝鮮の核武装を容認しうるという不安感がないまぜになっている」と説明する(鄭旭湜『変化した金正恩と戻ってきたトランプ』2025年3月、未邦訳)。
さらに鄭所長は、この根底には「在韓米軍やアメリカの拡大抑止に頼らない自主国防を確保して、アメリカに対しても自主的な国家運営を増進できる」という期待感があるという。拡大抑止とは、アメリカが韓国や日本に対して核抑止力を提供して他国からの攻撃を抑止するということだ。
賛成派「決断1つで早期に核兵器を製造」
独自の核開発の賛成派の主張は、おおよそ以下のようなものだ。まず「韓国が決断さえすれば、大量の核兵器を短期間で製造できる」という前提がある。



















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