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大平洋金属がレアアース受託精錬で渡る危ない橋、アメリカ大統領令をテコに深海底での商業採掘強行を目指すベンチャー企業と受託精錬契約

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国際的な環境保護団体である、Deep Sea Conservation Coalition(DSCC)の共同創設者で政治・政策アドバイザーのマシュー・ジアーニ氏は、トランプ政権によるゴーサインの問題性について東洋経済に次のように答えている。

「一連の動きがもたらす法的な問題は深刻だ。ほかの国々や企業も同様の行為をすることになれば、『ゴールドラッシュ』を引き起こすリスクがある。これは国連海洋法条約の深海採掘に関するルールを根底から覆すもので、同条約が確立してきた、海洋に関する平和的な利用のルールに違反する行為を正当化するきっかけになりうる」

深海底での資源採掘のルールのあり方についてはISAで長年にわたって協議が続けられているものの、環境破壊の懸念などから加盟国の間で反対の意見が多く、いまだ合意形成がなされていない。その結果、どの国も鉱物資源の商業採掘に踏み切ることができていないのが実情だ。

ISAの理事会(2022年10月31日)。アメリカは加盟していない(写真/COMMS INC)

そうした中で、条約の非加盟国であるアメリカが突破口を開いて鉱物資源の採掘に乗り出した場合、どうなるのか。トランプ政権による傍若無人な振る舞いは、領有への意思を表明したグリーンランドやパナマ運河のみならず、深海底にも及びつつある。

ISAのレティシア・カルバリョ事務局長は7月5日のISA理事会で、「深海底を無法地帯にしてはならない」とするアントニオ・グテレス国連事務総長の発言を引用したうえで次のように述べている。

「ルールに基づく多国間主義こそが唯一の信頼できる道筋だ」

日本の上場企業が鉱物の製錬に関与か

深海底での商業採掘をめぐっては、日本企業が手を貸す可能性も懸念されている。東証プライム上場の大平洋金属だ。

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