蘇る《清和会のドラマツルギー》、"小泉パパ"との共通点から浮かび上がる「高市劇場」が歩みうる今後のシナリオ

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しかし、今回は高市氏が逆転勝利した。01年の総裁選時の純一郎氏と同じく、“3度目の正直”で自民党総裁の地位を獲得した。

強力な“助っ人”がいたことも、純一郎氏と高市氏に共通する。麻生氏の協力がなければ、高市氏は議員票を獲れず、敗北していた可能性がある。

総裁選前の国政選挙で自民党が大きく議席を減らしていたという事実も同じだ。自民党は森政権下の00年の衆院選で271議席から38議席減の233議席となり、単独過半数を割り込んだ。石破政権下の24年の衆院選では56議席減の191議席となり、自公合わせても過半数に届かなかった。25年の参院選でも自民党は13議席減らして39議席となり、与党はとうとう衆参両院で過半数を割り込んだ。

国民に人気が高いという点も2人に共通する。JNN(ジャパン・ニュース・ネットワーク)が10月4日と5日に行った世論調査では、66%が高市氏に「期待する」と回答した。10月4日から6日にかけて行われた共同通信の世論調査では、自民党の政党支持率は33.8%で、前回から10.3ポイントも跳ね上がった。

“高市人気”の核は政策力だ。前述のJNNの調査では、高市氏支持の理由として「政策力」がトップを占めた。

復活した「清和会支配」が生み出す“時代の転換点”

森喜朗
国民には不人気だった森喜朗氏だが、小泉純一郎氏も高市氏も「森チルドレン」の側面を持つ(撮影:大隅智洋)

自民党と公明党の連立継続をめぐる協議が不調に終わったことでさまざまな可能性が取り沙汰されているが、それでも今月後半に開かれる臨時国会で高市氏が首班指名を受ける可能性は依然として高い。それは、21年10月の岸田政権の誕生でいったん中断した「清和会支配」の復活にほかならない。

00年4月に誕生した森政権は1年の短命に終わったが、その後を純一郎氏が継ぎ、第1次安倍政権、福田政権と続いた。途中で麻生政権と民主党政権を挟んで、12年12月に第2次安倍政権が誕生。その後継である菅政権まで、「清和会支配」は17年2カ月続いた。

高市氏は96年に自民党入りした後、清和会(旧安部派)に入会した。政界入りする前に所属した芸能プロダクションで得た石川県とのつながりで、森氏の“つて”を頼った。純一郎氏も高市氏も共に「森チルドレン」で、2人は田中氏や麻生氏という“養親”を得てスターとなった。

そして小泉政権は郵政民営化を推し進め、雇用改革などの規制緩和を次々と実現。日本社会をガラリと変えた。「強い日本」を叫ぶ高市氏はどのような日本をつくろうとしているのか――。小泉時代と同じ“時代の転換点”に日本は今、たたずんでいる。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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