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アメリカの首都ワシントンD.C.がとんでもない事態に、トランプ大統領による「緊急事態宣言」で治安回復は進むか

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2025年8月23日、米ワシントンD.C.の14番街をパトロールする州兵隊員たち(写真:ブルームバーグ)
アメリカの首都ワシントンD.C.が今、とんでもないことになっている。ドナルド・トランプ大統領は、首都の治安について「危険で、暴力的なギャング、血に飢えた犯罪者、若い暴徒、薬物中毒者の狂人、そしてホームレスに乗っ取られ、制御不能な状況だ」と表現し、緊急事態を宣言した。ワシントンD.C.地域に、25年以上暮らしている筆者が、現地の様子を取材した。

「ワシントンD.C.は極めて危険な街であり、殺人発生率は世界最悪水準にある」

8月11日、ホワイトハウスでの記者会見でトランプ大統領はこう述べ、ワシントンD.C.警察を連邦政府の管理下に置くと発表。首都の緊急事態に対応するため、およそ800人の州兵を派遣し、必要に応じてさらに増員する方針も示した。

殺人発生率はハバナのおよそ18倍

この会見では、トランプ大統領がグラフを示しながら同地域の危険性を具体的なデータで説明した。

・殺人発生率は、地球上で最悪の場所と言われている、コロンビアの首都ボゴタや、メキシコの首都メキシコシティを大きく上回る

・自動車盗難は過去5年間で2倍、カージャックは3倍以上に増加している

・2023年の殺人数は、おそらく史上最多水準に達した

その後、ホワイトハウスはさらに詳細なデータを公表した。

・殺人発生率は、パキスタンの首都イスラマバードのおよそ3倍、キューバの首都ハバナのおよそ18倍ある

・人口10万人あたりの殺人発生数はおよそ27件で、全米4位。ニューヨーク市のおよそ6倍にもおよぶ

・自動車盗難は全米平均の3倍以上で、世界で最も危険な都市の1つにランク付けされている

これに対して、D.C.のバウザー市長は、「2023年には一時的に犯罪が増加したが、対策強化により、現在は過去30年で最も低い水準にある」と反論。また、多くの主要メディアも、トランプ大統領やホワイトハウスの主張に疑問を呈し、実際には犯罪は減少傾向にあると報道している。

AP通信は、「トランプ大統領は治安の悪化を誇張し、文脈を無視している」と指摘し、ワシントンD.C.政府が公表しているデータを引用。昨年の同時期と比べて、犯罪発生率は26%減少していると伝えている。

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