――取り組みの際にSDGsをどのように捉えているのでしょうか。
Bさん:「SDGsに積極的に注力する」と表明していた時期もありました。しかし、コロナ以降、SDGs視点でモノを言うと、投資家向け説明会での反応は悪くなりました。アナリストヒアリングでもキャッシュフローや株価に直接的に響かない活動は「何のためにしているのか?」「そんなことをしても仕方がない」「興味が湧かない」と、ストレートに言われたり、態度に出ることが増えたと感じています。
一般的にビジネス=社会課題の解決ですが、当社は事業内容が少し特徴的で社会課題解決と直接的なつながりが薄いことも関係していると思います。
SDGsは課題のスケールが大きい
Aさん:SDGsが出てきたときは多くの会社が対応表を作り、「この領域に貢献する」といった姿勢を示していました。ただし、この言葉のままではステークホルダーに説明しづらいのが課題です。SDGsは地球観点、国家観点なので課題のスケールが大きく、企業としては、その言葉をそのまま受け取り実践するのは難しかったです。
そこで、ESGやサステナビリティという言葉に落とし込むことにしました。その結果、道筋が付きやすくなりました。その後はSDGsという言葉そのものでの実践はあまり意識しなくなりました。ただ、実際は似たような活動をしている面はあると思います。
Cさん:SDGsのコンセプトをビジネスモデルに取り入れることが、本来のSDGs対応だと考えています。ただ、「社会の持続可能性」なのか。「企業の持続可能性」なのか。主語が変わると取り組むべき内容も変わるので、そこは明確にすべきでしょう。
Dさん:SDGsはもともとビジネスや企業のためのものではなかったのに、企業がどう向き合うかが広く議論されました。SDGsの前身であるMDGs(ミレニアム開発目標、期限:~2015年)の時代と比べると、企業の取り組みは間違いなく広がりました。そういう意味で、SDGsの貢献度は高かったといえます。アンチも増えましたが、それは社会に広がってきたからという面もあるでしょう。
Eさん:私は昨年まで大手企業グループの持株会社でサステナビリティ関連業務にも従事していました。SDGsが出てきたとき、ある取締役は「好きになれない」と言っていました。
というのも、長期スパンの事業計画で、2050年から10年前倒しで二酸化炭素排出量ゼロを目指していたところに、SDGsで2030年の目標が出てきて、自分たちにとっては中途半端なマイルストーンにしかならないと感じたからです。そんなこともあり、取り組むスタンスとして上層部が号令をかけることはありませんでした。
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